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#スポーツのチカラ 県高校総体 サッカー男子 鶴崎スタイルを貫き10年ぶりの栄冠

#スポーツのチカラ 県高校総体 サッカー男子 鶴崎スタイルを貫き10年ぶりの栄冠

 歓喜の雄たけびを上げたのは10年ぶりの優勝を飾った大分鶴崎だった。今年の県高校総体サッカー競技を振り返ると、各校の実力が拮抗し本命不在ではあったが、最後は実力のあるチームが大会を制したと言える。

 

 優勝した大分鶴崎は非常にまとまりのあるチームだった。チームを率いる首藤謙二監督は、同校初の全国高校選手権大会を経験したOB。これまでは国体少年男子の強化に携わってきたが、名門復活を期して2016年に母校に赴任した。首藤監督は「ボールを丁寧に扱ってつなぐサッカー」を掲げ、新たなスタートを切った。そして、そのコンセプトの下に5年間積み上げたものが、花開いた形となった。

 

 大分鶴崎の攻撃は、常に二つ以上のパスコースをつくるために三角形を形成する。ポジションを取り直し続け、ボールをつなぎ、相手ゴールに運ぶ。小さな動きでパスを受けられる状態を維持し、広く視野を確保し、前線の3人、両サイドバックの動きを見逃さず、そのランニングを無駄にしない。このサッカーを決勝まで貫いて見せた。「スタイルの確立まで5年かかったが、改めてこの年代で勝つためには必要なスタイルだと確信した。自分が示したコンセプトを実現すべく、みんなが同じ方向を向いてやってくれた」と首藤監督。

 

実力伯仲の大会を制した大分鶴崎 

 

 決勝の大分戦では、スピードに乗ったショートカウンターを得意とする相手に対し、最終ラインを高く設定して、リスク覚悟で攻勢に出た。試合開始直後に最終ラインの裏を突かれてヒヤリとする場面はあったが、藤本淳也(3年)と矢野翔太郎(2年)を中心に相手エースを抑え、安定した守備を整えた。

 

 後半13分に先制点を許したが焦りはなかった。「今大会は走力で上回っていたし、後半から勝負できる自信はあった」と首藤監督。パスをつなぎ、サイドに揺さぶり、ゴール前に折り返す。練習から何度も繰り返した攻撃が後半29分に実を結ぶ。左サイドからのクロスを首藤大幸(3年)が流し込み同点に追いつくと、流れは大分鶴崎に押し寄せた。運動量が一気に落ちた相手をよそ目にパスをつなぐ。追加点を奪うのに延長まで要したが、1点目と同じように左サイドからのクロスを椎葉倖羽(2年)が頭で合わせ、逆転勝利をものにした。

 

 キャプテンの甲斐智也(3年)は、「素直にうれしい。これまでやってきたことが形となった」と喜び、首藤監督は「これまでいいサッカーはするけど結果がともなわなかった。新チームになってからは『“惜しい”はいらない。結果にこだわろう』と言い続けた。選手はよくやってくれた。大きな自信になる」と胸を張った。自分たちのサッカーを貫き、最後まで勝ち切って見せた大分鶴崎は、優勝にふさわしいチームであった。

 

 

決勝では同点ゴールを決めて勢いづいた

 

 

(柚野真也)

大会結果