
【指導者の肖像〜高校スポーツを支える魂〜】 信じる力が未来を変えていく 柳ケ浦高校バスケットボール部監督・中村誠(前編)
バスケ
シード校の大分舞鶴、藤蔭が準々決勝で姿を消した県高校総体バスケットボール競技男子。波乱の大会となったが、優勝したのは2連覇を達成した別府溝部学園だった。準決勝では柳ヶ浦を104-68で破り、迎えた大分上野丘との決勝戦。個人技で果敢に攻める大分上野丘に対して、高さとスピードで勝り、終始ペースを乱すことなく102-60と圧倒的な強さを見せつけた。
昨年は念願の全国高校総合体育大会に初出場したが、今年は上級大会が開催されないということで、「バスケを通じて何を残すか、何を伝えるか」をテーマに挑んだ大会だった。大会後、末宗直柔監督は「実力はまだまだ。これから帰ってすぐ練習したいくらい」と、全国を見据えるチームとしてはこの結果に満足していない様子。「イージーショットやフリースローのミスが多かった。もっと楽に勝てるはずがまだできない」と、末宗監督はシュート成功率の低さを課題とした。
得点源としても活躍した島袋琉希(5番)
新チームとなってからの懸念材料だったコミュニケーション不足については、成長が見られた。コート内でも、キャプテンの植山祐貴(3年)やゲームキャプテンの島袋琉希(3年)を中心に、プレーが止まるたびに声を掛け合い、意思疎通を図る場面も多かった。「複雑なことよりも基本的なことを忠実にやろうとしてくれた。3年生を中心に戦って、結果を残せたのはよかった」(末宗監督)。これは、多くの練習や試合が中止になる中で、改めて競技とじっくり向き合い、練習や試合ができることの楽しさや感謝の気持ちが芽生えた結果ではないだろうか。コート内での気持ちのつながりが強化されたことにより、それぞれが自分の役割に気づき、それを果たすことで「高い個人技の集合体」から「チーム全体で守り、攻めるチーム」に変化しつつある。
最終目標は全国高校バスケットボール選手権大会(ウインターカップ)に出場し、全国で結果を残すこと。3年生は一人も欠けることなく冬に向けて努力を続ける。島袋は「後輩たちの見本となるように日常生活からきちんとしていきたい」と話し、植山は「改めて一人一人が課題を見つけたはず。ウインターカップに向けて、今回できなかったことを克服したい」と、チーム一丸となって高校生活最後の大会へ意気込む構えだ。
どこからでも点が取れるようになった別府溝部学園
(黒木ゆか)
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