
【指導者の肖像〜高校スポーツを支える魂〜】 崩して勝つ美学 大分鶴崎高校サッカー部監督・首藤謙二(後編)
サッカー
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得点力不足が課題の大分トリニータに、一筋の光が差し込もうとしている。6月末にJ1ファジアーノ岡山から加入したブラジル人FWグレイソンが、満を持して“大分デビュー”を迎えようとしている。
今季岡山ではリーグ戦3試合の出場にとどまったが、大分合流後はすぐに全体練習に加わり、トレーニングマッチでの実戦を経て急ピッチでコンディションを整えてきた。「試合に出られる状態にはある」と片野坂知宏監督は語る。
クラブがいま最も必要とするピース。それがゴール前で違いを生み出せるストライカーだ。片野坂監督が掲げる「いい守備から、いい攻撃へ」は、前者において一定の成果を見せているものの、得点数はリーグワースト。ゴールを決め切る力が欠けていた。伊佐耕平と鮎川峻は1得点、屋敷優成は依然ノーゴール。孤軍奮闘の有馬幸太郎の5得点に続くFWの軸がいない現状は、昇格戦線を戦い抜く上で大きな課題だった。
そんな中、グレイソンに白羽の矢が立った。ブラジル、ポルトガル、スペイン、そして韓国を渡り歩き、経験は豊富。昨年岡山に加入すると、すぐに日本のサッカーに順応し存在感を示した。吉岡宗重スポーツダイレクター(SD)は「前線で起点になり、ゴール前で違いを出せる選手。適応能力も高い」と太鼓判を押す。
片野坂監督、吉岡SDの熱意が、グレイソンの心を動かした。「大分には君が必要だ」とのラブコールが胸に響いたという。自身も「フィニッシュとアシストがストロングポイント。勝つためにハードワークするだけ」と決意を語る。両足から繰り出すシュートに加え、空中戦にも強く、攻撃の厚みを増す存在として大きな期待がかかる。
ピッチ外でもその姿勢は一貫している。チームメイトの名前や特徴を積極的に覚え、戦術理解にも余念がない。「真面目で献身的。チームの要求にもトライしてくれる」と片野坂監督の信頼も厚い。12日のサガン鳥栖戦から出場可能となる今、いよいよその実力が問われる。
ゴールを渇望するチームにとって、「点を取るためのピース」だ。グレイソンの一撃が、停滞するチームの流れを変える。そんな予感が高まっている。
(七蔵司)
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