個人戦のみの開催が決まった県高校総体ソフトテニス。男子の優勝候補の一角は大分商業。平原秀和監督は「３年間の集大成として、一人一人が何かを残せる大会になれば｣と話す。昨年の県高校総体では大分に団体戦５連覇を阻止されたが、新チームで挑んだ県高校新人大会では王座を奪還した。勢いをそのままに全国大会での飛躍を目指していただけに、全国高校総合体育大会（インターハイ）中止は３年生にとって試練となったが、目の前の大会に全力で挑む。

　春の全国高校選抜大会中止の段階では、インターハイへの希望を持ちつつも「中止になることも想定して心構えをさせていた｣と平原監督。希望を与える言葉を安易に掛けられなかった苦しい胸の内を明かす。ただ、気持ちの整理ができていたことが部活動再開後のスタートダッシュにつながったのではないかと分析する。団体戦での勝利にこだわり指導を続けてきた平原監督にとっても、悔しさは選手と同様だ。

部活動再開後も全部員の動きが良かった大分商業

　選手たちは練習が再開されたときのことを想定し、それぞれが工夫しながら自主練習に励んだ結果、県高校総体にかける思いが一段と強くなった。キャプテンの板屋大翔（３年）は｢（インターハイ会場の）京都福知山のコートでプレーするのが夢だった。悔しいけど３年間の思いをぶつけて勝ちたい｣と勝利にこだわる構えだ。他の選手たちも思いは同じ。強い気持ちがプレーにも表れ、「それぞれが最高のパフォーマンスをしてくれると期待している」（平原監督）。

　プレッシャーがなくなった分、のびのびとプレーする選手たちは着実にステップアップしている。｢チーム内で一番になること｣を目標に掲げ、仲間をライバルとして意識しながら競い合い、個々が「優勝するのは自分だ｣と信じて練習する。混戦が予想されるが、最後まで諦めない気持ちを出すことができれば、チーム目標の「上位を独占」は不可能ではない。

チーム目標は「上位を独占」

（黒木ゆか）