
珠玉の一枚 Vol.41 【大分県】
その他
春から全国各地の高校大会で中止が相次ぎ、今夏の全国高校総合体育大会(インターハイ)の中止が決まった。新型コロナウイルスはアスリートだけでなくダンサーにも努力の成果を披露する場を奪った。3年生は一度も試合を行う機会のないまま部活動を引退する可能性がある。ヒーローとなるはずだった3年生は“今”どんな思いを胸に抱いているのか。
日本文理大学付属高校ダンス部
県内唯一の“部活”として活動する日本文理大学付属高校ダンス部。週4回の全体練習に加え週末はイベント参加など精力的に活動する。週に2度、別府市内のスタジオでダンスを指導する種子田猛司さんを外部コーチとして招き、基本的なレッスンとロックダンスを学ぶ。種子田コーチは「部活動として練習できる環境は素晴らしい。みんな情熱があるし、秘めた思いをダンスで表現してほしい。そのきっかけとなるのがステージなのだが、今年は表現できる場所が少ないのが残念」と話す。
3年生は入学した年から高校ダンス部の日本一を決める「DANCE STADIUM」の九州大会に出場し、2年時には「J:COMダンスフェスタ2019」の高校生部門に出場するなど、大きな舞台を経験した。今年は3年間の集大成の場として、ダンス大会やイベントに出場する予定だったが次々に中止となった。中村英美顧問は「3年生を中心に自分たちでも振り付けから曲の選択、衣装まで演出してきた。大会やイベントに出たら一気にレベルが上がるのをこれまで見てきたので悔しい」と胸の内を明かす。
3年生を中心に練習にダンスの技術を磨く
高校から本格的にダンスを始めた部長の吉野萌那(3年)は、「まさかこんな状況になるとは思っていなかった。仕上がっていたダンスもあり、いろいろなステージで披露できると思っていた」と話し、戸高拓磨(3年)は「どこかで必ず自分たちのダンスが披露できる場があると思っている。今はその時に向けてパワーを溜めて、最高のダンスができる準備期間にしたい」と気持ちを切り替えた。
イベントには「Jelly Beans」のチーム名で参加する。「カラフルなお菓子のゼリービーンズのようにポップで、それぞれの個性と感情を音楽に乗せてほしい」と種子田コーチは望む。やるせない思いや悔しさも糧となり、表現の幅へと変換させる。
次のステージに向けて気持ちは前向き
(柚野真也)
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