
珠玉の一枚 Vol.41 【大分県】
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新型コロナウイルスの感染拡大で春から全国各地の高校大会で中止が相次ぎ、今夏の全国高校総合体育大会(インターハイ)の中止が決まった。3年生は一度も試合を行う機会のないまま部活動を引退する可能性がある。ヒーローとなるはずだった3年生は“今”どんな思いを胸に抱いているのか。
大分高校男子ハンドボール部
春の全国高校選抜大会で腕試し、夏のインターハイで上位入賞を描いていたが、どちらも中止となった。冨松秋実監督は、「2月の九州大会で手応えをつかんだ。(勝負どころとなる)後半ラスト10分でスピードが落ちず、スタミナがついてきた。チームの状態は上り調子だっただけに残念」と悔やむ。指導歴50年近くの名将であっても、現在の置かれた状況に戸惑いを隠せない。
1、2年の頃から試合に出ている実績のある選手もいるが、最終学年になり全国デビューをもくろんでいた選手にとって、大学のスポーツ推薦のアピールの場がなくなった。冨松監督は「進路先は確保したい」と、国体や県高校総体が開催されなくても、コロナ禍に長年培った独自のネットワークを活用して、「いつも5月の連休に開催していた、全国の強豪を集めた大会をしたい」と考えている。
チームは上り調子だっただけにインターハイ中止は悔やまれる
大学でもハンドボールを続ける予定のキャプテンの江藤辰紀(3年)は、部活動が休止の間も自主練習で体力強化に励んだ。インターハイ中止の知らせを聞いたときは、「今まで積み重ねたことが無駄になった、今から何をすればいいんだろうという気持ちだった」と振り返る。しかし、今は「県総体や国体があるかもしれないし、試合に向けて準備をしている」。
インターハイでの活躍を夢見ていた安藤公輝(3年)も同じ思いだ。「ここに入学したのは自分たちの代になったときに全国大会で活躍するためだった。それがなくなって悔しい思いはあるが、次の大会に向けて前向きに練習したい」と話す。
高校最後の花道を飾る試合、大会は未定だが、冨松監督の「今、練習していることは必ず報われる」との言葉を信じて最善を尽くしている。
練習に励む大分高校ハンドボール部
(柚野真也)
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