
大分トリニータ シーズン総括 戦い方を徹底できず低迷、降格危機で現実路線へ 【大分県】
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昨年のインターハイで、2年生チームながらに前回覇者の大垣南高校(岐阜)を倒し、悲願の初優勝を飾った別府翔青高校男子フェンシング部。ジュニアの頃から共に歩んできた上野優斗、瓜生陽、石井魁に、高校からフェンシングをはじめた梶原三厳を加え、抜群のチームワークで全国制覇を果たした。
快挙は自信となり、チームに大きな変化をもたらした。王者を追う立場から、追われる立場になったことで渡部達郎監督はチームスタイルを変えることを決意した。「今年1年でガラリと変えた。去年と同じことをしてもトップは獲れない」と、これまでのスピードを活かした形に、テクニカルな動きをプラスした。練習からフィジカルトレーニングにも時間を割き、体幹から鍛え上げた。映像を使った研究、分析にも力を入れ、今年3月の全国高校選抜大会で優勝した。
日頃から部員たちとのコミュニケーションを大切にし、個々の選手に合わせてアドバイスする渡部監督。試合で自分が送るどんな言葉にも対応できるよう、選手たちの引き出しを増やしている。
チームが目指すのは「連覇」のみ。チャンピオンしか掲げられない目標だと士気は高い。成し遂げるための準備は万全だ。
石井魁(3年)
チームを率いるキャプテンを務め、「二連覇は自分たちだけにあるチャンス。絶対にものにしたい」と前だけを見ている。全国の高校生が目指すインターハイの舞台に特別な思いを持つが、今年の県高校総体開会式で選手宣誓をしたことが自分の意識をさらに高めたと言う。最終学年になった今、「1年生の時はチャレンジャー精神。でも3年生はそう簡単にはいかないことも多いので一戦一戦を大切に戦いたい」と精神的にも成長した証を結果で示すだろう。
上野優斗(3年)
チームの絶対的エース。小さい頃から培ってきたフェンシングの技術は非常に高く、数え切れないほどの大会で好成績を収めてきた。「最高の状態でインターハイに挑みたい」。昨年感じた全国制覇の難しさを知るだけに、この大会に懸ける意気込みは誰よりも強い。「死ぬ気で体を造り上げていく」と残された準備期間でラストスパートに入る。「団体も個人も、必ず獲る」。積み重ねた努力が実を結ぶ瞬間を楽しみにしたい。
瓜生陽(3年)
遅からず速からずの絶妙なスピード感で相手を翻弄(ほんろう)する。渡部監督も類いまれな能力を高く評価している。「昨年のように、自分たちの持っている力を十分に発揮したい」。大会前の直前合宿では、課題の残る技術面を徹底的に追い込んだ。何度も繰り返し練習することや後輩に教えることで成長を遂げられると言う。「みんなのおかげで強くなれている」。常に仲間への感謝の気持ちを持ち、フェンシングに向き合う姿は美しい。
(塩月なつみ)
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