国スポ 期待高まるチーム大分 今年も千点以上目指す 【大分県】
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この逆境を揺るがぬ土台に 新田城二(トライアスロン)
大会が次々と中止になり、目標が定めづらい状況は続くが、これまでと同様に泳いで、こいで、走るアスリートがいる。新田城二は、「うまくいかないときに何ができるか」、それが試されるのがトライアスロンの魅力だと語る。モチベーションが下がる感覚はなく、ウイルス禍が落ち着くまでプールが利用できないのはマイナスだが、「バイクを集中的に強化できるチャンス」と、この状況をポジティブに捉えている。
水泳・自転車・ランニングの3つの競技を連続して行う過酷なトライアスロンにおいて、新田が得意とするのは水泳だ。3歳の頃からスイミングスクールに通い、小・中学では県内のレースで上位のタイムを残し、高校3年時には全国高校総合体育大会(インターハイ)と国体に出場した経歴を持つ。鹿屋体育大に進学後も競技を続けたが、「ある程度の成績は残せたが、日本一になることは難しかった」。
伸び悩んでいた時期に、東京オリンピックに向けてトップ選手の競技転向を促す「競技間トランスファー」のトライアスロンの記録会に出場した。スイム400㍍、ラン5㌔に臨み、合計の設定タイムを突破できなかったが、それがきっかけとなり、「新たな競技に挑戦しよう」と好奇心に駆られた。
ウイルス禍が落ち着くまでバイクの集中強化を図る
トライアスロン転向2年目の2017年、虹の松原トライアスロンで3位になり一気に注目を集める存在となる。大学院卒業を機に帰郷。日本オリンピック委員会が実施するトップアスリートの就職支援ナビゲーション「アスナビ」を活用し、社会医療法人関愛会・佐賀関病院に勤務しながら、生まれ育った大分で競技を続ける。
当面の課題はバイク。スイムとランは日本トップランカーと引けを取らない新田は、スイムで先行するも、バイクで貯金を使い果たし、ランの奮闘もむなしく…というレースを繰り返してきた。学んだのは綿密なレース戦略。「スイムで先頭集団につけ、ローテーション(風の抵抗を受ける先頭を入れ替わりながらペースを上げる戦術)で余力を残し、ランにつなげれば上位争いができる」。その成果は活躍の場を国際大会に広げたことで証明された。「今は、じっくり体をつくり直せる時期だと思っている」。揺るがぬ土台をつくり、大輪の花を咲かせる。
「じっくり体をつくり直せる時期」と語った新田城二
(柚野真也)