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トリニータ キャンプレポート 成熟度、チーム力は昨季以上

トリニータ キャンプレポート 成熟度、チーム力は昨季以上

 鹿児島キャンプ中の大分トリニータは、J2甲府と今季3試合目となる対外試合(45分×3本)を行い、3―0で勝利した。先制点は新加入の野村直輝がクロスを頭で合わせ、2点目は小塚和季が技ありループシュートを決め、3点目は伊佐耕平がクロスに詰めた。片野坂知宏監督は「戦術のコンセプトに選手が合わせ、状況に応じたプレーをしてくれた」とまずまずの手応えを口にした。

 

 今回のキャンプでは、11人の新加入選手が、これまで積み上げたチームの戦い方にうまく順応できるように、綿密にコミュニケーションを取ってチームの団結力を高めている。甲府との試合で、その一端をのぞかせた。自陣後方でしっかりパスをつなぎ、数的有利を生み出した瞬間にスイッチを入れ、攻撃のテンポを速める。無理だと判断すれば後方にボールを戻し、落ち着かせる。新加入選手は総じて前のめりになるが、昨季までの既存の選手たちがバランスを取り、「焦らず何度でもやり直せばいい」とパスにメッセージを込める。そんな意思疎通のパス交換が随所に見られ、攻撃の組み立ての成熟度は昨季より高い。

 

 その中で目立っていたのが新加入の渡大生。今季、広島から完全移籍で加入したストライカーは、鋭く果敢にゴール前に飛び出した。「今は模索中。いろんな感覚をすり合わせている。印象としてはセカンドストライカーとして抜け出す感覚」とイメージを膨らませている。戦術理解度が高く、片野坂監督が狙いとするプレーを体現できている。渡は「もっと周りの選手が特徴を出せるようにしたい」と、献身的に前線を動き、体を張って相手のボールを奪取するなど気持ちを前面に出したプレーを連発。そんな渡に触発されるように、チーム全体から戦う姿勢が感じられるようになった。

 

新加入の渡大生

 

 昨季の大分を振り返ると、クロスや決定機の数は多いながらも前線に人数が足りなかったり、フィニッシュの精度を欠く場面が目立っていた。今季は前線の大規模な補強、選手の特性を生かした組み合わせや布陣の変更のオプションなど、得点増加への期待が膨らむ。そして、選手の位置取りにより優位性を保つ片野坂監督のサッカーにもよりち密さが生まれている。在籍8年目の松本怜は「戦術の落とし込みは例年になく細かい」と話す。

 

 J3からつくり上げたチームの土台は揺るがない。今季はそこに、質と強度を加えて結果を求める。「確実に昨季よりレベルアップしている。得点場面での当事者の質は課題であるが、既存の選手も新加入の選手もやるべきことが整理できている」と片野坂監督。今季はリーグ開幕より先に、カップ戦がある。キャンプを終えると残り2週間しか時間がない。チームを率いて5年目を迎えた指揮官が、どんなチームに仕上げるのか。その手腕が試される。

 

甲府戦で得点を決めた伊佐耕平

 

 

(柚野真也)