大分上野丘高校ラグビー部 佐藤武信(3年) file.827
ラグビー
3年生、冬物語 vol.5 ラグビー 輝かしい歴史を刻み、東明魂を胸に旅立つ 若松納央
大分東明高校ラグビー部に輝かしい歴史の1ページを加えた。高校ラグビーの聖地である花園ラグビー場で行われる全国高校ラグビー大会に初出場し、初勝利を挙げた。あれから1カ月近くが過ぎ、3年生は引退し新チームとして始動。大学に進学し、ラグビーを続ける若松納央(3年)は、トレーニングを続けながら、後輩を指導している。
「高校3年間の目標としていた花園に行けたことは素直にうれしいが、狙っていたベスト8には届かなかった。その悔しさは少しある。僕自身は大分東明出身者として次のステージで活躍したい」。若松のラグビー熱は燃え尽きるどころか、熱くなる。
若松は打倒・大分舞鶴を志し、大分東明に入学してからチームが勝つために何ができるかを考え続けた。「自分たちは強い」と信じ、ひたすら練習に打ち込んだ。キャプテンになってからは、さらにストイックにラグビーを突き詰め、自分に厳しく、チームメートにも厳しさを求めた。ただ、どこかでふに落ちないこともあった。「やらされているのでは面白くない。自分からラグビーをやりたいと思える環境をつくるのが自分の仕事。それが大分東明のモットーでもあるエンジョイ・ラグビーにつながる」という考えに至った。
チームの中軸となりプレーでも引っ張った
「見る人も楽しいと思えるラグビーをしたい」。昨秋のラグビーワールドカップで華麗な攻撃を見せたフランス代表やフィジー代表のごとく、空いたスペースに次々と入り込み、タックルを受けても次から次に選手が現れてボールを動かす。巧みなステップで相手の防御網を突破し、タックルを受けながらパスをつなげるオフロードパスは、大分東明ラグビーの代名詞となった。スクラムハーフとしてテンポよくパスを散らす若松は、チームに欠かせない役割を担い、プレーでもチームを引っ張った。
昨年2月の県高校新人大会で大分舞鶴の連覇を27回で止めたが、6月の県高校総体では大分舞鶴に敗戦。最終決戦となる全国高校ラグビー大会県予選へ不安がよぎったが、何度も「自分たちは強い」と気持ちを奮い立たせた。若松にとって花園への最後の挑戦は、自らの先制トライでチームを勢い付け、大分舞鶴に勝利した。かつては大分舞鶴を倒すことに全てを捧げたが、ようやく呪縛から解き放たれた。「舞鶴はライバルであることに違いないが、これからは全国で勝つことを目標にしてほしい。後輩には花園に出場したことに満足せず、ベスト8をクリアしてほしい」と新たな歴史を刻むことを願う。
「あっという間の3年間だった。キャプテンになってからは辛いこともあったけど、みんなが自分についてきてくれた。感謝しかない。自分のラグビーの根っこはここにある。大分東明で培った経験を今後の競技人生に生かしたい」と誇りを胸に、次のステージに旅立つ。
大学でもラグビーを続ける若松納央
(柚野真也)