
県高校総体 バレーボール男子 仲間との絆で栄冠をつかんだ大分南 【大分県】
バレー
全国屈指のバレーボール強豪校・東九州龍谷(東龍)で1年生ながら先発の座を射止め、昨年は全日本高校選手権大会(春の高校バレー)で準優勝を経験した“小さなエース”室岡莉乃。今年は少しだけ伸びた身長と大きな期待を背負いセンターコートに立つ。
身長163㌢と小柄だが、最高到達点は297㌢と驚異のジャンプ力を誇る。滞空時間が長く、パンチ力のあるスパイクは、見る者を魅了する。今年の春の高校バレーは2回戦から登場。チームを勝利に導くスパイクを量産し、準決勝進出の原動力となった。「初戦は会場の雰囲気やボールの感触になじめず、普段よりボールが飛んでしまったけど、ようやく自分らしいプレーができるようになった」と話し、これまでの3試合の自己評価は「60点ぐらい」と辛口採点だった。
確かに本来のプレーから精彩を欠いた場面もあったが、ゾーンに入ったときの室岡の爆発力は昨年以上だ。本人いわく「調子がいいときはブロックの指の隙間まで見える」らしい。相手のブロックが2枚だろうと3枚であっても苦としない。クロス、ストレート、インナーと打てるコースの幅が広く、しっかりと力を乗せられるためレシーバーを弾き飛ばすことができる。また、緩急を巧みに使い分けることができ、打つタイミングをずらすなど変幻自在だ。
今大会はエースとしてチームを引っ張る
「勝負どころでトスが集まるようになり、決めなければいけない思いは強くなった。今年のチームは1年生が(コートに立つことが)多いので引っ張っていかなければいけない」と話す言葉の端々にエースとしての自覚を感じる。「昨年は先輩たちについていくだけで良かったが今は違う。緊張すると視野が狭くなるので、コート上ではみんなに声を掛けるようにしているし、小まめに(守る)スペースを確認している」
良くも悪くもマイペースで、自分のプレーに徹することだけを考えていた室岡だったが、今大会は後輩の肩をポンと叩き、リラックスできるように笑顔で話し掛ける場面を見る。「昨年、キャプテンの平山(詩嫣、久光製薬)さんが緊張していた私の手を握って『大丈夫だから』と言ってくれた一言で気持ちが楽になった」。精神的支柱と呼ばれるには、まだまだ経験が必要だが、大エースへの道を着実に歩んでいる。東龍史上、最も小さなエースが8年ぶりの日本一に向けて調子を上げている。まだまだこんなもんじゃないよね?の問いにコクリと頷き、「頑張ります!」と答えた笑顔に大仕事をやってのけそうな雰囲気が漂っていた。
積極的にコミュニケーションを図る室岡莉乃
(柚野真也)
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