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ヴェルスパ・レディース 九州リーグ1部へ昇格、来季も攻撃スタイルを貫く

ヴェルスパ・レディース 九州リーグ1部へ昇格、来季も攻撃スタイルを貫く

 九州女子サッカーリーグ1部リーグへの昇格が決まったヴェルスパ大分レディース。同2部リーグで2年目となる今季は、荒川幸大監督が「戦術の共通理解が高まり浸透した」と振り返ったように、安定した試合運びで結果も伴った。10勝2分2敗で2位となり、来季は新たなステージで勝負する。

 

 今季は国体女子チーム監督の佐藤岳雄氏をアドバイザー兼コーチに招き、ポゼッションスタイルの浸透を重点に置き、強化を図った。また即戦力となる社会人選手や実力のある高校生をスカウトし、下部組織から伸びしろのある選手を引き上げ、チーム内の競争力を高めた。

 

 リーグ戦序盤はけが人が多く、ポジションを定めることができずに厳しい試合が続いた。これまでチームの得点源だった姫野加奈子や本来はFWである新加入の吉岡あなんをCBで起用するなど苦肉の策でコンバートしたことがチームに変化をもたらした。「経験値の高い姫野、吉岡は慣れないポジションではあったが、しっかりと役割をこなし、彼女たちの抜けた攻撃のポジションで試合に出るようになった選手が成長した」(荒川監督)。

 

 中盤のアンカー役として攻守のつなぎを任せられた高本澪奈は、大きく飛躍した選手の一人。「難しいポジションなので戸惑うこともあったが、CBが後ろから指示してくれるので守りやすかった。相手がスピードに乗らないように前を向かせないようにはできた」との言葉に成長の跡を見て取った。献身性が高く、広い範囲でプレー。ボールのある場所に頻繁に顔を出した。荒川監督は「攻撃の芽を摘む“潰し屋”として守備の安定に一役買った。攻撃がまだまだだが課題が多い方が成長する」と期待する。

 

今季成長した選手の一人、高本澪奈

 

 高本がアンカーに定着するようになってポジションを一つ上げ、本来の攻撃力を発揮したのが松本芽依。「トップ下でプレーすることが多くなりシュート数が増えた」と、得意のドリブルから強烈なミドルシュートを叩き込んだ。今季は20得点を挙げ、昨季の9点を大幅に上回った。得点の増加とともに相手のマンマークが徹底されるようになったが、「周りを使って自分がおとりになるようなプレーをしたい」とプレーの幅を広げている。

 

 チーム設立当初から在籍する姫野は、「2年での昇格は想定内。これからが厳しい。九州の1部と2部ではレベルが全く違う。一人一人のレベルアップも必要だが、チームとしてもっと強くならなければいけない」と話し、吉岡も「チームとしての技術的なことも意識的なこともレベルが低い。もっとチーム内で要求して、高めていきたい。来季は前線のポジションで勝負して10得点10アシストを目指す」と来季を見据えている。

 

 カテゴリーが上がれば、苦戦は必至。「守備一辺倒になれば間違いなく残留争い、降格という方向に向かってしまう。これまで積み上げたスタイルが出せるように、自分たちで主導権を握るサッカーをしたい」と荒川監督。「攻撃こそ最大の防御」を形にしたい。

 

九州1部に昇格したヴェルスパ大分レディース

 

(柚野真也)

大会結果