
【指導者の肖像〜高校スポーツを支える魂〜】 信じる力が未来を変えていく 柳ケ浦高校バスケットボール部監督・中村誠(前編)
バスケ
第72回全国高校バスケットボール選手権大会県予選
10月27日 女子決勝 ダイハツ九州アリーナ
中津北95-56大分
(17-11)
(20-20)
(30-15)
(28-10)
チームの成熟度を感じさせる4連覇だった。中津北の強みは堅守からの速い展開。その起点となるのが寄せの速い守備だが、試合序盤はエンジンが温まっていなかった。ハンドリング技術の高い大分に巧みにかわされ、リードを許す展開が続いた。大津留礎監督は、「後半勝負だと思っていた。最悪10点未満で折り返されてもいいから、焦らずに試合を進めさせた」とベンチ前で選手を鼓舞した。ベンチからの声はコートの選手たちに伝播し、「決勝だからといって熱くならず、冷静にいつも通りのプレーをすれば流れが来ると思った」とキャプテンの工藤佑美(3年)。
時間の経過とともに硬さが取れ、足が動くようになる。じわりじわりとプレッシャーをかけ続け、相手のミスを誘い、確実にフリースローで点差を詰め、逆転する。第2クオーター(Q)を終わったときには6点リードで折り返すと、第3Qからは伝家の宝刀2-2-1のゾーンプレスがピタリとハマる。代々伝わる秘伝の守備は継ぎ足され“巧味”が増していた。3-1-1、1-2-1-1と展開に応じて形を変え、相手にポイントを絞らせない。
唯一フル出場した森田月海
そこからもう一つの武器、速攻が始まる。木下菜月(2年)、木村美月(3年)のガード陣がドリブルで切り裂く。相手が間合いを取って突破に備えると森田月海(3年)が外から射抜く。「今日はシュートが入らなかった」という森田だが、3点シュートだけでなく、ドライブからジャンプショットと多彩な形で得点を挙げた。
ギアチェンジした中津北は勢いを緩めることはない。減速する大分を尻目にゴールに突き進んだ。終わってみればリードは39点に広がり、戦術理解や意思統一で格段に勝った。強さでなく“力強さ”という表現が中津北には似合う。工藤は「次は全国。自分たちはチャレンジャーなのでガムシャラに挑むだけ」と話し、森田は「もっともっと練習して、最高の形で勝ちきりたい」と、帰宅せずに練習に向かいそうな勢いだった。
彼女たちにとって最後の舞台となる全国高校バスケットボール選手権大会。今大会は未完で終えた攻撃システムを構築し、さらに力強さは増すはずだ。ベスト8に向けて挑戦は続く。
全国ではベスト8を狙う中津北
(柚野真也)
地区を選択
学校名を選択