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空手 し烈な東京五輪代表争い 大野ひかるがラストスパートをかける

空手 し烈な東京五輪代表争い 大野ひかるがラストスパートをかける

 来年の4月に決まる空手の東京五輪代表争いは、終盤戦を迎えた。日本代表として形に出場できるのは男女各1人のみ。東京五輪に出場するためには国際大会で上位に入り、ポイントを獲得しなければならない。年内までポイント争いは続き、世界ランキング上位2人が来年から一騎打ちで代表枠を争うことになる。

 

 この狭き門を争う大野ひかる(大分市職員)はラストスパートをかける。9月にあった、ランキング争いに影響を与える「KARATE1プレミアリーグ」の東京大会は、東京五輪の舞台となる日本武道館で開催された。大野のここまでのプレミアリーグでの最高はパリ大会、ラバト大会、上海大会の3位。是が非でも優勝し、残りのポイントレースに勢いをつけたかったが5位に終わった。「全体的な感じとしては練習でやってきたことは出せたが、力みが出た」と悔しさを隠さなかった。

 

 形は空手家としての「強さ」と「美しさ」を兼ね備えて競う。一点に集中して繰り出す技はブレてはいけない。ブレを防ぐためにはスピードとパワーのバランス、体の使い方が重要になる。大野は6月以降、下半身強化に取り組み、筋肉増量に着手。海外の選手に負けないパワー向上につながったという。東京大会では、重心の落とし方、ブレない演武を意識した。元々スピードと技の正確性には秀でていたが、下半身から上半身へ伝わる力の使い方が格段と向上した。ただ、あり余る力が力みにつながり「技の抜き、差しでミスが出てしまった」(大野)。

 

KARATE1プレミアリーグ東京大会で5位となった大野ひかる

 

 ルール改正により今年の大会から、これまでの5人の審判による旗での判定から、7人の審判の点数で勝敗を決めることになった。技の正確性を判定する「技術点」とスピード、パワーを見る「競技点」。ごまかしが通用しない点数制は大野にとって追い風だったが、ここ最近の大会では思うように点数が伸びない。「技術なのかパワーなのか、それとも情熱なのか。審判が何を求めているのか明確にしなければいけない。残された時間は少ないが挑戦するしかない」と、劣勢な状況であるが気持ちはなえていない。

 

 10月のKARATE1プレミアリーグモスクワ大会、11月の同マドリード大会で優勝、もしくはそれに準じた成績が必須となる。「素人が見て分かり、玄人が見ても納得できる形を追い求めたい」と常々語っていた大野に雑念はない。「日本選手はみんな強いが負けるわけにはいかない」と攻めの姿勢を貫く覚悟だ。

 

東京五輪出場に向けて可能性がある限り諦めることはない

 

(柚野真也)