OITA SPORTS

7/2 WED 2025

supported by

ザイナス

その他

重量挙げ 高校最強の名を懸け3冠を目指す首藤佑希(大分工業3年)

重量挙げ 高校最強の名を懸け3冠を目指す首藤佑希(大分工業3年)

 みなぎる自信が肉体に宿る―。全国高校選抜大会、全国高校総体と“高校2冠”に輝いた重量挙げ73㌔級の首藤佑希(大分工業3年)が、高校最後のタイトルとなる国体制覇に照準を合わせている。満身創痍(そうい)であることは変わらない。6月に膝を故障し、練習もろくにできなかった全国高校総体前に比べると状態は悪くはないが、練習は制限付きで膝と相談しながらの調整が続く。それでも王者が弱音を吐くことはない。「3冠に挑戦できるのは自分だけ。優勝と得意のスナッチで高校新記録(131㌔)を目指したい」と貪欲だ。

 

 全国高校総体では「いつ膝がパンクするか分からないギリギリの状態だった。棄権も考えていたが、そういった緊張感が首藤の力を最大限に引き出した」と梶原誠監督。得意のスナッチで自己ベストタイの118㌔を成功し、同種目で優勝すると、続くジャークではライバルたちに必死にくらいつく。スナッチのリードを守り抜き、トータル(スナッチ118㌔、ジャーク135㌔)で栄冠を手にした。首藤は「練習不足で不安しかなかったが、成功することをイメージした。結果を出せた自分を褒めたい」と納得の優勝だった。

 

全国高校総体で2冠となった首藤佑希

 

 高校から重量挙げを始めた首藤は2年次には全国総体や国体に出場したが、結果が残せなかった。梶原監督は「あの頃は能力が高いだけの選手だった」と当時を振り返る。夏休みが終わり、代替わりしてキャプテンとなってから内面の変化とともに、結果が伴うようになった。「弱い心を捨てた。不平不満を言わず、自分の立ち位置を考えて行動するようになって変わった」(梶原監督)

 

 心技体の最後のピースであった「心」が整い、勝負強さが首藤をさらなる高みに引き上げた。全国舞台で頂点に立つこと2度。最強の称号を手にするために、残り一つのタイトルを目指す。この日は卒業生の野中雅浩(茨城県競技力向上対策本部)ら日本ランカーの選手と練習し、先輩らの技術だけでなく、重量挙げに対する取り組み姿勢などを学んだ。高校3冠に輝いた野中は、「素質は素晴らしい。3冠も十分に狙える。3冠を獲った物しか見えない景色がある。彼にはそれを見てほしい」とエールを送った。

 

 茨城国体まで1カ月余り。首藤は高校最強のチャンピオンになるために自分と向き合い、鍛錬を積む日々を過ごす。

 

茨城国体での優勝を目指す

 

(柚野真也)