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トリニータ 新たな力が加わり、最良の組み合わせを見出し現状打破

トリニータ 新たな力が加わり、最良の組み合わせを見出し現状打破

 折り返し地点を過ぎたJ1リーグだが、大分トリニータは23節を終えて9勝7分7敗、勝点34で8位。今季のチーム目標に据えた「勝点45、J1残留」に向け、残り11試合で勝点11は十分に実現可能な数値であり、チーム強化は計画通りに進んでいると評価できる。今年は例年になく「夏の移籍期間」に選手の人事異動が多かったが、即戦力となる「鮮度の高い実力者」の加入は、J1残留を確実なものにするために動いたクラブの本気度を示すものとなった。

 

 得点源だった藤本憲明に福森直也、馬場賢治らがチームを離れたが、昨季オフからラブコールを送っていた田中達也、補強リストの上位ランクに記されていた嶋田慎太郎、小林裕紀を迎えることができた。数字上は放出した選手の数が上回るが、戦力は開幕時から上回り、片野坂知宏監督の選手選考に幅ができている。

 

 夏場に加入した3選手は、J1、J2で活躍した鮮度の高い実力者だ。今季こそ試合出場数は少ないが、昨季は田中が熊本(J2)で42試合、嶋田は大宮(J2)で33試合、小林は名古屋(J1)で32試合に出場し、チームの主力としてけん引した。「数字は嘘をつかない。単に能力だけ比較すればJ2やJ3で試合に出ている選手よりもJ1の控え選手の方が高いかもしれないが、可能性を感じるのは試合に出ている選手」と西山哲平強化部長。数字以外には片野坂監督の目指すサッカーに順応できるかは大きなポイントとなり、3選手は加入直後から即戦力として試合に出場している。

 

23節鹿島戦では田中達也、小林裕紀が先発出場

 

 田中はサイドのスペシャリスト。「運動量が多く、スピードもあり、個の力で勝負でき、決定的な仕事をしてくれる」(西山部長)。既に先発に定着し、チームに欠かせない存在となっている。嶋田は希少価値の高い前線の左利きの選手。狭いエリアで前を向き、相手の急所を突くプレーができる。今は攻撃の切り札として後半からピッチに投入されることが多いが、嶋田は「どの場面でも得点に絡むプレーをしたい」と前向きだ。小林は今月13日に加入し、4日後の鹿島戦に先発出場した。片野坂監督は「攻守で安定感がある。状況に応じたプレーができ、試合をコントロールできる」と絶大な信頼を寄せる。また、キャプテンシーもあり、彼の持つ経験を若い選手たちがピッチ内外で学びチームに還元すれば、成績だけでなく今後のチームにとって大きな財産となる。特に前田凌佑や長谷川雄志ら若手ボランチにとって最高の見本となるはずだ。

 

 後半戦に入り、大分の攻撃に対して守備ブロックを築いて構えるチームが多くなった。今後も広島、次の松本と守備の固いチームとの対戦が続く。片野坂監督は「相手が割り切った戦い方をしてくるようになった。それでもボールを持って動かし、焦れずにバランスを崩さず、メリハリをつけて戦うしかない」と試練に立ち向かう。この状況を打破すべく新たな戦力を加え、乗り越えた先にJ1残留がある。

 

 田中、嶋田、小林の加入で各ポジションに競争が生まれている。戦術は浸透し、GKとDFは固定できているので、前線のトライアングルと両サイド、ボランチの特徴、組み合わせ次第で、オプションは多くなる。選択肢が多いほど使いこなせる指揮官がいるので、どんな組み合わせが良い化学反応を起こしてくれるのか楽しみだ。

 

攻撃の切り札となる嶋田慎太郎

 

(柚野真也)

大会結果