県高校野球選手権 投手陣でつかんだ優勝 柳ケ浦、接戦制し夏へ弾み 【大分県】
野球
夏一番乗り、際立つ杵築の勝負力 夏の甲子園予選2019
第101回全国高校野球大分大会
7月7日 第1試合 1回戦 別大興産スタジアム
日田三隈 000 00|0
杵 築 232 03|10(5回コールド)
開会式直後の大一番。注目度の高い開幕戦だが「あえて何も言わなかった。それで心が揺らぐなら次は勝てない」と伊藤弘明監督。昨夏の甲子園予選を経験したのは岩根翔主将と吉岩佑馬の3年生2人だけ。シード校に匹敵する力があるとはいえ、極度の緊張に押しつぶされてもおかしくない状況だが、選手は目の前の試合に勝つことだけに集中した。
開幕のマウンドに立ったのは大城虎太郎(3年)。5月の県高校選手権の初戦で左太ももの肉離れで1イニングを投げて以降、公式戦では投げていない。今大会の抽選会が終わって、伊藤監督は「先発は大城と決めていた」と復帰戦の舞台を与えた。「他のピッチャーに比べて経験が少なかった」との理由もあるが、トーナメントを勝ち上がるためには、投手の数は多い方がいい。大城が復活すれば、継投の計算ができやすくなる。そんな思いもあった。
3回無失点に抑えた大城虎太郎
監督の期待に大城は応えた。先発が決まったときから決めていた開幕初球のストレートが決まる。2球目は打ち返されたが、「悪いなりにコースに投げ分けた。緊張はしなかった。指先に(ボールが)かかればもっと良くなる。マウンドが意外に硬かった」と話すほど冷静だった。復活戦は余力を残し、3回を無失点に抑え、確かな手応えをつかんでマウンドを譲った。伊藤監督は「プレッシャーの中で結果を出してくれた。持ち味の思い切りの良さが出たし、コントロールが良く安定していた」と合格点を与えた。
4回からは萩原直人(3年)が引き継ぎ、これから先の戦いに備え、総力戦で臨めるように野手もメンバーを入れ替えながら、集中打を浴びせ5回で試合を終わらせた。エースの矢野裕雅(3年)を温存できたことも大きい。しかし、伊藤監督は「もっと攻める気持ちを出さないといけない。バッティングも走塁も。もちろんバッテリーも攻める姿勢が、まだまだ必要。無難ほど怖いものはない」と勝ってかぶとの緒をしめた。開幕戦の勝利は、第1シードへの挑戦権を得たことになる。次は優勝候補の一角となる大分との試合。杵築の本当の勝負力は試される。
中軸としての役割を担った吉岩佑馬
(柚野真也)