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トリニータ 開幕まで、あと2週間 J1との差は測れたか!?

トリニータ 開幕まで、あと2週間 J1との差は測れたか!?

 2月23日にJ1開幕を控える大分トリニータは、9日間の鹿児島キャンプを経て、“J1仕様”へと変貌している。キャンプでの練習試合から見えたチームの現状をレポートする。

 

 6年ぶりのJ1での戦いに向けて準備を進めている大分は、鹿児島キャンプ最終日にJ1仙台と練習試合(45分×4本)を行った。片野坂知宏監督は「悪くない試合だった。新加入選手が(戦術に)合ってきた。負けはしたが修正できる」と振り返る。

 

 攻守ともに組織を重視し、バランスの崩し合いで優位に試合を進める片野坂監督のサッカーにおいて、ポジショニングやパスの出し手、受け手のタイミングが肝となる。戦術理解では昨季もチームに在籍していた選手に分があり、仙台戦の1、2本目は先発組と見られる選手たちが顔をそろえた。

 

 試合開始からリズムをつかみ、サイドを起点とした攻撃は昨季より成熟していた。これまでの練習試合と異なり、ワンタッチパスの精度が上がり、多彩な攻撃でチャンスをつくる場面があった。松本怜は「動き出しのタイミングやパスをもらいたい位置などをキャンプ期間中に話すことができた」と、寝食を長い時間共にしたことで互いに特徴を理解し、攻撃の形が共有できるようになったという。得点した場面は明確な意図を持って、前線で複数のパスをつなぎ、崩し切って決めた。得点に絡んだ小塚和季は「キャンプの集大成として臨んだ。選手の特徴が分かり、お互いの距離感もつかめた」と話し、豊富な運動量と少ないタッチ数で前線にパスを供給した島川俊郎は「大分のサッカーに合わせ過ぎ、迷いがある。攻撃の入りから、立ち位置など予測と感覚の差をもう少し埋めたい」と反省したが表情は明るく、それぞれが手応えを感じていたようだ。

 

今季も攻撃の柱となる松本怜

 

 攻撃の場面では狙いを形にできたが、失点した場面は淡白だった。自分たちのミスが失点に直結したことに加え、外国人選手の個の能力に圧倒された。ディフェンスリーダーの鈴木義宜は「推進力があり、これまで対戦した外国人選手よりワンランク上。頭を使って駆け引きして対応しなければいけない」と話し、片野坂監督は「やはりJ1の外国人選手は次元が違う。スペースと時間を与えたら決定力のあるフィニッシャーにやられる。個で対応するのではなく、グループとして守る必要がある。今日はいい経験だった」としており、狙い通りの成果を得ることができたようだ。この試合で見られたように、サイドを崩された時にカバーが曖昧になった。「それは声を出せば修正できる。守備の詰め方は良かったので、相手をフリーにさせないように粘り強く守るしかない」(松本)。課題もあるが、ある程度の規律を守り守備面に手応えを得られたことは、今後のチームづくりに少なからず好影響を与えるはずだ。

 

 開幕戦はアジア王者の鹿島。9日のJ2金沢戦を含め、残り2週間で2回の練習試合を組んでいる。「メンバーは確定していない。残り2週間で選手の組み合わせや90分通して自分のパフォーマンスを発揮できるかを見極めたい」と片野坂監督。残された時間で各選手のプレーを確認し、細部まで戦術を合わせる必要がある。幸いチーム始動から別メニューで調整している三竿雄斗、刀根亮輔の2人以外はけが人が出ておらず、チームづくりは順調だ。「長い時間を使ってポゼッション(ボール保持)すれば相手に攻撃権を与えることはない」と攻撃的な姿勢を貫く指揮官の下、J2最多得点で昇格を決めたチームのJ1への挑戦はすぐそこまで迫っている。

 

新戦力の小塚和季の活躍がチーム力の上積みとなる

 

(柚野真也)

大会結果