
サッカーU―17日本代表 代表の誇りを胸に、平野稜太が世界へ挑む 【大分県】
サッカー
6戦負けなしで2位。リーグ最多の17得点と好調な攻撃陣だが、勝敗に決定的な影響を及ぼしているのは両サイドだ。攻撃の起点を作り出すキープレーヤーを生かす術を探る。
ボールをしっかりとキープして、GKも加わった最終ラインのパス回しでリズムをつける。そして、左右への大きな展開で相手を動かし穴をつくり出したら、そこを起点に一気に攻め込む。今季のトリニータが理想とする形が15日の第9節横浜FC戦の後半8分、MF松本怜の同点ゴールとなって表れた。「あの時間帯はボールを左右に動かすことができていた。自分もワイドに開いて、前線に駆け上がったタイミングでいいパスがきた」と語るのは、アシストを決めた左ウイングバック(WB)のMF星雄次だ。
状況としては、横浜FCがしっかり守備ラインを引いていたため、トリニータは遅攻で活路を見出さなければいけなかった。ただやみくもに縦パスを入れても相手の4バックに跳ね返されるだけだ。だが、この場面でトリニータの選手たちは落ち着いてパスをつなぎ、ドリブルを織り交ぜて相手の守備体系を少しずつ動かしていく。すると横浜FCは守備バランスを失う。トリニータ側から見て横浜FCの左サイドに大きな穴が空いていた。
そして、このスペースに星がサイドを駆け上がるのを見計らったFW馬場賢治からのパスが通る。最初のトラップで相手マークを2人一気に置き去りにした星はペナルティエリアに侵入し、DFとGK間に低いクロスを入れ、これを逆サイドの松本が合わせた。
6戦負けなし、攻撃陣が好調の要因となっている
ゴールへの一連の展開でポイントは、星が語っていたように相手のクリアボールを蹴り返さずにパスをつなぎ、馬場がドリブルで時間をつくり、星のオーバーラップを促すこと。
同様に右WBの松本もパスをつないでいる間に深い位置に入り込んでクロスを上げる場面が見られた。スペースに入り込む役割はWBに限らず、3バックの両サイドであったりもする。横浜FC戦においては柔軟な連動性が生まれていた。
しかし、このような連係をリズムよく持続できる時間はまだまだ短い。相手のプレッシャーが厳しい時間帯では、途端にそれまでの動きのバランス、パス交換のテンポが悪くなり、押し込まれてボールを保持することさえままならなくなる場面がある。また、「スペースを空けようとする動きが(効果的な連係につながらず)無駄な動きになって消耗している」(FW後藤優介)時間があり、これが試合終盤にかけてのトーンダウンとならないよう、状況を見極めながら連係を図るという課題も見えている。
とはいえ、連勝はストップしたが6試合負けなし、リーグ最多得点は立派な数字だ。片野坂知宏監督は、「相手の陣形によって攻めあぐねることはあるが、サイドを使って攻撃ができている。昨年よりサイドからの得点、アシストが多いのは思い切って選手がチャレンジしてくれているから」と戦術の浸透に手応えを感じている。「サイドの選手が一番フリーになれる。周りもどんどん使おうとしている」(松本)という選手のサイドの活用の意識は高い。あとはこの起点の位置を深く持っていけるかがチャンスメークのカギと言えそうだ。
サイド攻撃に手応えを感じている片野坂監督(左)
(柚野真也)
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