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トリニータ シーズン総括 目標は早々と達成。シーズンを通して成長し、スタイルを築いた

トリニータ シーズン総括 目標は早々と達成。シーズンを通して成長し、スタイルを築いた

 J1昇格プレーオフは逃したが、当初の目標であった勝点45を早々とクリアし、J2残留を決めた大分トリニータ。開幕前の評判は決して高くなかったが、大方の予想を裏切った。開幕白星スタートし、その後は勝ち負けを繰り返したが、最後まで負け数が先行することはなかった。連敗が1度だけで42試合の長丁場のリーグ戦を戦い抜いたのは上出来だ。

 

 振り返れば今季はトライ&エラーを繰り返し、勝点を積み上げてきた。「昨季以上に“ボールを握る”ためにシステムを3バックに変更した」と片野坂知宏監督。指揮官の言うボールを握るとは、ボールを保持することを指す。GKからボールをつなぐパスサッカーは大分の代名詞となった。ボランチの川西翔太、鈴木惇の補強したメンバーがいち早く攻撃に落とし込み、攻撃はバージョンアップした。

 

 彼らは最終ラインからボールを引き出し、サイドを絡めた幅の広い攻撃を演出した。自分たちのスタイルを磨くなかで、リーグ序盤戦はチャンス自体が少なかった。パスサッカーを掲げたが、相手のプレッシャーが強ければクリアに逃げる場面が多く、かたや守備が機能してもワンチャンスで決められてしまった。それでもボールを速く動かす取り組みも引き続き重ねた。日々の鍛錬は裏切らない。リーグ中盤を過ぎた頃には決定機は上位チームに引けを取らないほど増えた。

 

今季もブレずに大分のサッカーを成熟させた

 

 守備においては、1トップとシャドーのどちらかが相手の最終ラインに寄せてパスコースを限定し、サイドに追い込んでボールを奪うという狙いを徹底する。開幕当初は前線の選手が深追いする場面が多かったが、徐々にスペースを埋める守備にシフトした。「対戦相手も研究してくる、やろうとしたいサッカーができない、させてもらえないというのは往々にある」と片野坂監督。「時には割り切ったプレーも必要」と相手との力関係を判断し、守備重視の4バックにシステムを変更して、勝ち切ることもあった。

 

 プレーオフ争いから脱落した41節徳島戦、39節千葉戦の黒星が示すように、今季は大事なところで勝てなかった。試合の機微を知るベテランの衰えも影響しているのだろう。山口貴弘が引退し、山岸智の契約満了が発表され、30代のベテランがチームを去るのは不安材料だが、世代交代を進めつつ、勝負強さを身につけなければいけない。来季の課題は、このあたりにありそうだ。

 

続投が決まった片野坂監督。 来季のチーム作りに注目

 

(柚野真也)

大会結果