
【指導者の肖像〜高校スポーツを支える魂〜】 信じる力が未来を変えていく 柳ケ浦高校バスケットボール部監督・中村誠(前編)
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県高校総体が1カ月後に控えている。前哨戦となった南九州四県対抗バスケットボール選手権の男子県予選では別府溝部学園が優勝したが、4強を懸けた準々決勝は大分舞鶴が敗れるなど波乱があった。県高校総体に向けて実力校の現在地を探った。
第1回は、昨年末の全国高校選手権大会(ウインターカップ)に出場し、新チームになってからも県内負けなしの別府溝部学園を紹介する。
■昨年度の主な成績■
県高校新人大会 優勝
ウインターカップ県予選 優勝
県高校総体 準優勝
「常に選手に刺激を与え、成長を促したい」と伊藤滋監督は語る。昨年末のウインターカップを終え、年明けに新チームが本格的に始動してからは、九州内の大学の練習に参加して選手の向上心をあおった。4月からは、伊藤監督と共に県内の競技強化に尽力した楢原剛氏をアシスタントコーチに迎え、これまでと異なるアプローチで選手との距離感を縮めた。キャプテンの大庭涼太郎(3年)は「新しいコーチが来て、チームの雰囲気が明るくなった。練習から声が出るようになり、試合でもコミュニケーションを取ることが増えた」とチームの変化を感じている。
南九州四県対抗選手権県予選では、伊藤監督は「力を出し惜しみするようなチームではない」と勝利を求め、選手はそれに応えた。新チームになってから取り組んでいる守備強化に関して、「ディフェンスリバウンドが取れなかった」と課題を挙げたが、その表情は決して暗くはない。「選手たちは試合の流れの中で(守備システムの)マンツーマンとゾーンを使い分け、対応できていた」と伊藤監督。決勝の柳ケ浦戦では、相手シューターへの厳しいマークでシュート成功率を引き下げ、勝利を呼び込んだ選手たちをいたわった。
コミュニケーション力が高まった別府溝部学園
伊藤監督が別府溝部学園に赴任して2年目。選手と目指す形を共有できた。ようやく理想とする守備の「基礎」が浸透したが、まだ土台に過ぎない。「大分のバスケレベルを上げたい」との思いは強く、全国で勝つことに目を向ける。「強いチームは当たり前のことが当たり前にできる。足を使ってディフェンスをする。シュートアベレージを上げる。地道にコツコツと練習で積み上げるだけ」と話す。
県高校総体では3年ぶり3度目の優勝を目指す。大庭は「ウインターカップには2度出ているが、インターハイに出場したことがない。僕たち3年生にとっては今年が最後のチャンスなので、まずは県予選で勝つことが大事。圧倒して勝って、インターハイでベスト8を狙える勢いをつけたい」と意気込む。
司令塔でもあるキャプテンの大庭涼太郎
(柚野真也)
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