国スポ 期待高まるチーム大分 今年も千点以上目指す 【大分県】
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大分トリニータ 下平隆宏監督インタビュー 「攻め勝つサッカーをしたい」
明日、Jリーグが開幕する。1年でのJ1復帰を目指す大分トリニータは、何よりも結果が求められるシーズンとなる。6年間チームを率いた片野坂知宏前監督の下、チームには「カタノサッカー」と呼ばれる「色」が付いていた。そのチームを引き継ぎ、どんな色を付け、どんな方向へと導くのか。新たな指揮官、下平隆宏監督に話を聞いた。
片野坂前監督のチームへの貢献を考えれば、後任を引き受けるのは、どんな監督にとっても難しい選択だと考えられる。そんな中就任したのが、柏レイソルや横浜FCを率いた下平監督だった。今回の監督就任は、どんな選択だったのだろうか。
「トリニータを選んだ理由としては、下地がしっかりあること。片野坂前監督が非常にいいスタイルを築き上げていました。私自身と(チームづくりで)通じることが多くて、スタイルを継承しつつ、自分の色を出しながらチームづくりをしていけると思い、引き受けました」
下平監督が考える「色」とはどういうものなのか。チームを率いて約1カ月。戦術の浸透度には手応えを感じているという。
「仕上がりは順調。自分が思い描いていた通りに仕上がっています。元々、大分の選手は組織的なサッカーをしていただけあって戦術アレルギーがない。言われたことに対して理解度が高い選手が多いです。僕はボールの保持率を高めて、攻守の切り替えの速いトランジションサッカーを理想に掲げています。ボールを失えば5秒以内に奪い返し、ゴールに近い位置でポゼッションが高くなれば、当然得点の機会は増えるし、失点も減ります。(イングランドのプレミアリーグの)マンチェスター・シティのような非常にスピーディーかつ攻撃的で、ゲーム展開の面白いサッカーをしたいです」
では、理想のスタイルを実現するために、どういう手順を踏んでチームを構築したのだろうか。昨季まで3バックがベースだったが、今季は4-3-3を採用している。システムが高い水準で機能するために、動き、流れ、役割を選手たちに明確に落とし込んだという。
「最低限のことは伝えましたが、選手の吸収率は高かったという印象です。選手は戦術の概念を理解していたし、あまり多くのことを押し付けると体が動かなくなるので、言い過ぎないように気を付けました。頭で考えるのではなく、感覚で動けるのが理想です。システムはあくまでもシステムであり、選手が共通理解の上でプレーすることが重要です。ただ、こだわったのは攻撃の組み立てであるビルドアップの部分です。ここは片野坂前監督と原理原則の違いを感じたので、僕の考えを落とし込みました」
攻守の切り替えの速いトランジションサッカーを理想に掲げている
1年でのJ1昇格が重大使命。現実的なことを考えれば、勝ち点3がどうしてもほしい試合では、守備的に戦うことも選択肢の一つだ。しかし、下平監督にはそうした考えはない。あくまでも、「攻め勝つサッカー」を貫こうとしている。
「質の高いサッカーができたとしても、それが結果につながるとは限りません。自分たちのスタイルがあればあるほど対策をされやすい。これまでの練習試合を振り返ると、前からプレスにいくと裏返されて(長いボールを蹴られて)逆にカウンターを食らうことがありました。行ったり来たりで落ち着かない試合になることもあると思いますが、それでも自分たちのサッカーを貫いて、自分たちのペースで試合ができるようにしたいです」
明日から始まるリーグ戦。今季は昨季以上の過密日程を強いられる中、指揮官のマネージメント力が問われる。開幕戦を含めて、シーズンの戦い方は整理できているようだ。
「J2のリーグ戦は試合が多く、我々はカップ戦も戦わなければいけない。非常にタフな日程となります。根幹となるポジションはある程度固定することになりそうですが、調子のいい選手を使いながら乗り切りたい。選手層はJ2の中では厚い方だし、いい選手がそろっています。誰がスタートで試合に出るか確約できない状況は、いい競争につながっています。
開幕戦は42分の1という考え方もありますが、ホームで試合をする以上は負けられない。いいスタートが切れるか、そこでつまづくかでシーズンの流れは変わります。サポーターに今季最初のお披露目の場となるので、勝って喜びを分かち合いたいです」
「開幕戦が楽しみ」と語った下平隆宏監督
(柚野真也)