
県高校総体 バレーボール男子 仲間との絆で栄冠をつかんだ大分南 【大分県】
バレー
試合の流れを変えるカンフル剤として、ベンチから試合状況を見つめていた大分工業のキャプテン芦谷透(3年)。憧れ続けた春の高校バレー(全日本バレーボール高校選手権大会)で出場機会が訪れたのは、第1セットを先取され、後がなくなった第2セットの中盤だった。13-15、これ以上点差を離されると勝機を逃す可能性が高くなる場面で、コートに立つ。「相手の高さは脅威だったが、ブロックもレシーブも通用しなかったわけではない。このチームで試合ができる最後の大会。悔いを残さぬように楽しんでプレーしようと思った」(芦谷)。ミスを恐れない全力プレーでチームを鼓舞した。
中学1年からバレーボールを始めた芦谷は、他の選手に比べると経験は少ない。それでも、自他ともに認める努力家は地道に練習を重ね、大分工業に入学後も成長を重ね、最終学年になったときにはキャプテンを任せられる選手となった。江崎裕之監督は「スタメンの実力はあるが、チームが劣勢になったときにコートに出したい」と、切り札としての役割を与えた。芦谷は「試合に出てチームを引っ張るのがキャプテンの役割と思っていたので苦しかった」と悩んだ時期もあったようだが、「勝利のために」とチームを支えた。
6年ぶりにオレンジコートに立った大分工業
大分工業には芦谷のように、コート内外でチームを支えた3年生が少なくない。ベンチ入りした10人のほか、3人の選手は対戦相手のデータを集め、分析し、練習メニューや戦術を監督に提案してチームの土台を作った。“13人13色”それぞれの個性がぶつかり、まとまることで、1年間県内無敗のまま春の高校バレーの舞台に立った。総力戦で臨んだ春の高校バレー初戦は、力及ばず1回戦で姿を消したが、試合後に「持てる力を出し切った」とすがすがしい表情で語る3年生の姿があった。
江崎監督は「3年生はそれぞれの役割を果たしてくれた。最後の試合でコートに立てなかった者もいるが、一丸となって試合に臨めた。これまでは全国に出ることが目標だったが、これからはここ(全国大会)で勝ち上がるためのチームにならなければいけない。それを3年生が教えてくれた」と感謝の言葉を述べた。
6年ぶりの春の高校バレーで「勝つことの難しさ、負けることの悔しさを学んだ」とは芦谷の言葉だ。先発メンバーのうち3人が2年生。最高の手本を見て、経験を積んだはずだ。新チームの核となり、来年はもう一度この場所に戻り、「まずは1回戦突破を達成してほしい」という3年生の思いをかなえる。
チーム一丸となって勝利を求めたが、かなわなかった
(柚野真也)
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