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ラストバトル〜3年生、最後の戦い〜 バレーボール女子 日本一奪還ならず、2回戦敗退となった東九州龍谷

ラストバトル〜3年生、最後の戦い〜 バレーボール女子 日本一奪還ならず、2回戦敗退となった東九州龍谷

第74回全日本バレーボール高校選手権大会(春の高校バレー)

1月6日 東京体育館

女子2回戦

東九州龍谷1(25-18、17-25、21-25)2共栄学園(東京)

 

 東九州龍谷の、2年ぶりの日本一への夢は志半ばで絶たれた。第74回全日本バレーボール高校選手権大会(春の高校バレー)2回戦の共栄学園戦。東龍は、第1セットの終盤に折立湖雪(3年)の連続得点で抜け出して、25-18で先取。1−1となった第3セットは序盤から相手のエースのスパイクがさえ、第2セットからの流れを変えることができずに逆転負けした。相原昇監督は「相手のエースを爆発させてしまった。ブロックを固めたかったが徹底できず、相手のサーブで崩された」と振り返った。

 

 1セット目を先取し、得意の逃げ切りに持ち込むはずだったが、佐村真唯(同)は「先に集中力が切れてしまった」と感じていた。試合の流れを変えようと佐村は、プレーが途切れるたびに、コートに立つ一人一人に「ここから行くよ!」「まだまだいける」と声を掛けた。劣勢な場面では「(迷ったら)自分に持って来て。大丈夫だから」とパスを要求した。勝負強さと決定力を誇る佐村は力強いスパイクで反撃したが、一度相手に傾いた流れを引き寄せることはできなかった。試合後は「私が決めきれなかったから負けた」と責任を一身に背負った。1年生の春の高校バレーで日本一を経験し、最終学年になってからはキャプテンとなり、「もう一度、日本一になりたい」と、練習から誰よりも大きな声を出した。魂でチームを引っ張る闘将は「これが高校3年間の最後と思ったら悔しい」と語った。

 

魂でチームを引っ張った佐村真唯

 

 エースとしてチームを引っ張った折立は、トーナメントが決まったときから「2回戦がポイントになる」と照準を合わせていた。東龍のエースの肩書きの重さに押しつぶされそうになった時もあったが、中学の頃からのライバルであり、「一緒に東龍に行って日本一になろう」と誘われた佐村の、「このチームのエースは折立だから」との言葉に何度も励まされ、今大会のコートに立った。チームを勢いづけるスパイクとサービスエースも決めたが、「力が足りなかった」と敗戦を受け止めた。試合後は最後までベンチに残ってコートを見続けた。「エースとしてチームを勝たせることができなかった。後輩をセンターコートに立たせることができなかった」と、悔しさを忘れぬように目に焼き付けた。

 

 その折立に最後にトスを上げた新改星南(3年)。「3年間ずっと一緒にバレーをしてきた。エースを信じた」と迷いはなかった。最後まで、攻守の切り替えの速い東龍バレーを貫き、トスを振った。「勝って終わりたかった」との思いは強く、敗戦を受け入れるまでにはまだ時間がかかりそう。双子の妹・栞南とも最後の試合となった。異なる大学に進学することになっており、「もっと(一緒に)バレーがしたかった」と涙が止まらなかった。

 

 日本一奪還の夢は絶たれ、3年生8人の最後の試合が終わった。折立は「この3年間、互いにぶつかり、いろんなことがあったけど、ここまで来られたのは8人がいたから。誰か一人でも欠けていたら東龍のバレーはできなかった。感謝しかない」と語った。最後まで気丈に振る舞った佐村を先頭に、3年生は雪が舞う試合会場を後にした。

 

春の高校バレーのコートを目に焼き付けた折立湖雪

 

 

(柚野真也)