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3年生、夏物語 vol.7 ボート男子 今後に期待高まる未完の大器・中島広大(日田3年)

3年生、夏物語 vol.7 ボート男子 今後に期待高まる未完の大器・中島広大(日田3年)

 日本一には一歩届かなかったが安定した力を発揮した。ボート男子の全国高校総体に出場したシングルスカルの中島広大は「予選は調子が上がらなかったが、準決勝から意識的にペースを上げた」と、春から取り組んだ先行逃げ切りの形を実践した。決勝では悪くないスタートを切ったが、同じ19歳以下の日本代表のライバルに飛び出され、逃げ切られた。それでも3月の全国高校選抜大会に続く準優勝に対し、小川尚志監督は「大会前に大雨があり練習できなかったことがスタートの差になったが、後半は崩れることなく安心して見ることができた。2位ではあったが勝つべくして勝ったレースだった」とたたえた。

 

 中島は中学3年時はバドミントン部に所属していたが、春休みに日田高校のボート部の練習を体験し、「自分の能力を生かせる競技に出合った」と高校からボートを始めた。受験勉強のモチベーションは「日田高校に入学してボート部に入る」ことだった。晴れて入学、小川監督の指導を受けるようになった。水上での動きを陸上トレーニングで再現し、こぎ手の漕力(そうりょく)を測定するエルゴメーターで、初心者ながら部内上位の記録を出した。「体も大きく、パワーを出し続けることができる」と才能を感じた小川監督は、当時から一人乗りの艇に乗せ、シングルスカルで日本一を目指すための3年間が始まった。

 

全国高校総体で準優勝した中島広大

 

 1年生の秋の県高校新人大会で優勝すると、続く九州高校新人大会でも優勝。その年には日本協会主催の有望競技者発掘育成メンバーに名を連ね、期待度は増した。「結果が出ることで自信になったし、練習にも力が入った」と中島。全国デビューとなるはずだった1年時の全国高校選抜大会がコロナ禍で中止となり、2年時の全国高校総体も中止。全国での自分の立ち位置を把握できない期間が続く。「学校も休みになり、できることは限られたが筋力と体力だけは維持しようと自主練した」。大会に出場できなかった期間で基礎能力を高め、競技に必要な下地をつくったことが、後の飛躍につながった。

 

 日本一の目標は高校で達成できなかったが、中島は「大学で日本一を目指す」と力強く語った。180㌢、76㌔と恵まれた体型は、まだ大きくなっている。小川監督は「まだまだ鍛える部分はあるし、伸びしろは多い。世界で戦える選手になってほしい」と期待する。競技を始めて3年未満、磨けば光るダイヤの原石だ。10月には中島自身初となる国際大会「U19アジアジュニア選手権」が中国で開催される。日本一より先にアジア王者に輝く可能性もなくはない。

 

大学では日本一を目指す

 

 

(柚野真也)