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トリニータ 新戦力を加え後半戦スタート 苦しい状況に変わりはないが下位脱出の糸口は見えつつある

トリニータ 新戦力を加え後半戦スタート 苦しい状況に変わりはないが下位脱出の糸口は見えつつある

 リーグ後半戦を迎える大分トリニータ。予想外の低迷に苦しむクラブは、選手の追加登録が可能になる「夏の移籍期間」に4人の戦力補強を敢行した。新加入の顔ぶれを見ると呉屋大翔、梅崎司、野嶽惇也、増山朝陽と攻撃的な選手が並ぶ。得点力不足に悩み、勝てない日々が続いた前半戦の課題が浮き彫りとなった形だ。

 

 前半戦を振り返った西山哲平GMは「今季はJ2で活躍した発展途上の選手を獲得したので、最初から100%でスタートすると考えていなかった。シーズンを経て、80%から完成に近づく認識だった」と話す。既存の大卒2、3年目の選手を含め、実戦経験を積ませながらチームを作るはずだったが、「けが人が多く、予想通りのパフォーマンスを発揮できず、点が取れず、守備も我慢できなかった」と低迷の要因を挙げる。

 

 この事態を受け止め、クラブは早い段階から水面下で補強に動いていた。深刻な得点不足にテコ入れすべく、前線とサイドの選手の補強を画策。夏の移籍期間前に呉屋を獲得し、いち早く戦術を落とし込んだほか、クラブの歴史を知り、キャプテンシーを発揮できる梅崎を14年ぶりに復帰させた。また、サイド攻撃を活性化するために推進力のある野嶽、増山を加えた。

 

14年ぶりに大分の一員となった梅崎司

 

 片野坂知宏監督は補強に関して「リクエストに応えてくれた」と話すが、予算規模がJ1では底辺の、クラブの身の丈にあった補強と言わざるを得ない。「監督が要望したのは、予算ありきで希望する選手。クラブとしてはもっと武器を持たせてあげたかった。監督のやりくりには感謝している」という西山GMの言葉は、財政が厳しいクラブの正直な思いだ。戦力的な見劣りは否めず、厳しい台所事情のなか、指揮官は選手を差し替え、対戦相手によって柔軟に戦術を変え、打開を試みる作業が今後も続くだろう。

 

 約1カ月の中断期間にコンディションを整え、戦術の確認や熟成に力を入れた。戦力補強で競争が激しくなり、練習の質も上がった。これまで積み上げた戦い方にブレはなく、選手たちは信頼して、片野坂監督が指し示す「一体感を持って戦うこと、自分の最大値を出し切ること」に取り組んでいる。中断前に勝利した浦和戦を試金石とし、これまでよりもボールにプレッシャーをかける守備を念頭に置き、「この場面で行く」「行かない」など、より細部まで選手全体に浸透している。

 

 ただ、これで状況が劇的に改善することはないだろう。だが、数字にとらわれず目の前の試合に全力を尽くすしかない。「残り試合が少なくなると焦り、プレッシャーがかかる」と片野坂監督。これから始まる夏場の連戦で勝ち点を1点ずつでも重ね、巻き返しのチャンスを狙うしかない。

 

写真は全て大分フットボールクラブの提供

 

 

後半戦も片野坂知宏監督の手腕に期待がかかる

 

 

(柚野真也)

 

大会結果