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ヴェルスパ 格上相手に勝利し、チームにもクラブにも追い風

ヴェルスパ 格上相手に勝利し、チームにもクラブにも追い風

 JFLリーグ4連勝で暫定4位のヴェルスパ大分が、J2レノファ山口FCを撃破して「第101回天皇杯全日本サッカー選手権(天皇杯)」の2回戦に駒を進めた。山橋貴史監督は「プレッシャーが速く、強度も高いJ2相手にボールを動かすことはできた」と振り返った。6月からの上位陣との対戦が続くリーグ戦を前に手応えを感じた様子。昨年の天皇杯ではクラブ最高の4回戦に進出した勢いが、リーグ戦でも好影響を与え優勝へとつながった。格上に勝利したことは大きな自信となりそうだ。

 

 カテゴリーでは2つ上に位置するJ2山口と対戦した天皇杯1回戦。先発メンバーを大幅に入れ替えた相手に対し、大分はリーグ戦と同じメンバーを起用して臨んだ。立ち上がりは相手のプレッシャーに戸惑うこともあったが、これまで積み上げたパスサッカーを貫いた。自陣でパスをつないで、相手の陣形を動かし、ほころびが生じたら一気に長いパスを通す。狙いとする形が実を結んだのが前半30分。村田勉が自陣から左サイドに大きく振ったパスに西村大吾が抜け出し、ゴール前で中野匠がパスを受け、右足を振り抜きネットを揺らした。

 

J2山口にシュート本数でも上回った

 

 シナリオ通りの展開だったが、ここから個々の技術で上回る相手に苦戦。JFLでは通用するパス回し、仕掛けどころでボールを奪われるシーンが増え、守備の時間が長くなる。前半38分に相手の幅を使った攻撃に振り回され同点弾を許し、試合は振り出しに戻った。それでも集中力を切らすことなく、相手を上回るシュートを打ち、互角の勝負を演じたのは大きな収穫。同点のまま後半を終え、30分の延長戦でもスコアは動かなかったが、PK戦までもつれ込んだときにはG K姫野昂志は「勝利を確信した」という。「相手は負けられない思いが強かった。メンタルで優位に立てた」と姫野。蹴る側が絶対有利のPKにおいて「(シュートを)止めればヒーローになれる」状況が姫野の集中力を研ぎ澄ませた。3人目のシュートを止めて、勝利を呼び込んだ。

 

 JFL参入10年目の節目で「連覇」と「天皇杯ベスト8」を目標に掲げるチームにとって、Jリーグのクラブと対戦できる唯一の機会は、注目を集める機会でもある。「Jリーグ100年構想クラブ」の認定を受け、J3クラブライセンス取得の準備を進めているクラブにとっても大きな追い風となった。

 

勝利の立役者となった姫野昂志

 

 

(柚野真也)