
県高校総体 バレーボール男子 仲間との絆で栄冠をつかんだ大分南 【大分県】
バレー
国体九州ブロック大会の代表決定戦で熊本に勝利し、本国体への出場を決めたバレーボール成年男子。長年単独チームとして出場している大分三好ヴァイセアドラーだが、“チーム大分”の一員としての思いは強い。選手、監督の両方の立場で出場経験のある小川貴史監督は、「国体はリーグ戦、天皇杯・皇后杯と並ぶ3大大会と位置づけている」と話す。日本人選手のみの参加となる国体は、リーグ戦を前に選手層を高める実戦の場であることはもちろんだが、「大分のチームとして大分県に恩返しできる最高の大会」と監督も選手も捉えている。日本トップリーグのV・プレミアリーグや、その2部リーグにあたるV・チャレンジリーグに所属するチームが単独出場する都道府県はあるが、「ヴァイセアドラーほど強い気持ちで国体に挑むチームはない」(小川監督)。
「チーム大分として誇りを持って戦う」と語った小川監督
先月行われた国体九州ブロック大会では、初戦の福岡に敗れ黒星スタートとなったが、小川監督は「まずは3位以内に入って本大会の出場権を獲ればいい」と選手の気持ちを切り替えさせた。5月から新チームとなり、これまで取り組んできたバレーを出し切ることに集中させ、長崎、熊本にストレート勝ちした。今季の得点源と期待される米田亘希が「チームとしての完成度は半分ぐらいだが、やりたいことの土台が見えた」と話したように大きな収穫を得たようだ。
今季、新チームを立ち上げたときの目標は「トータルディフェンスの構築」だった。サーブの段階から特定の場所を狙い打ち、相手のアタッカーの助走幅を奪い、残りの枚数のアタッカーにトスを上げさせブロックの位置をある程度絞り込む「サーブ&ブロック」。また、ブロックはスパイクをシャットアウトするのではなく、常に2枚以上のブロックをキープし、ワンタッチを取ってスパイクの威力を弱めることやアタッカーに打つコースを絞らせディグ(レシーブ)する「ブロック&ディグ」の戦術を取り入れた。この2つの戦術を連動することでサーブ&レシーブの安定につなげた。
今季の目標はトータルディフェンスの構築
攻撃においては、外国人エースのヤカン・グマが高さとパワーで押し切る昨季までの大味なバレーから、「クイック、サイド、パイプ」の3パターンを取り入れ、相手に的を絞らせない多彩な攻撃に切り替えた。国体九州ブロック大会では、米田、キャプテンの石垣公也ら複数の選手がスパイクを決め、攻撃パターンが増えた。小川監督は「昨季までパイプ攻撃は1試合に1、2本しか決まらなかったが、今大会は1試合に10本は決まるようになった。まだまだ波はあるが計算できるようになった」と手応えを口にした。
「守備も攻撃も自分たちから仕掛けるバレーができた」と米田が言うように、つなぐバレー、多彩な攻撃から得点を重ねる場面が見られた。チームはひとつグレードを上げたと言っていい。かねてより小川監督は「練習でできたことが試合で出せるように意識することで力がついてくる」と語っており、緊張感のある練習をこなすことでチーム力アップを目指している。サーブ&レシーブが崩れ連続失点を重ねる悪癖は解消されていないが、確かに今季目指すバレーの骨格は見えてきた。10月6日に国体本戦の初戦を迎える。この大会の目標はV・プレミアリーグのチームを1チームでも倒すこと。そして、チーム大分に得点をもたらすこと。この目標を乗り越えることで、チームはさらにひとつ階段を上るはずだ。
今季からキャプテンとしてチームを引っ張る石垣
チームの得点源だけでなくムードメーカーとしての役割もこなす米田
(柚野真也)
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