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明豊高校センバツ準優勝特集① 川崎絢平監督インタビュー 新たな競争を生み出したい

明豊高校センバツ準優勝特集① 川崎絢平監督インタビュー 新たな競争を生み出したい

 県勢54年ぶりのセンバツ制覇にあと一歩及ばなかったが、深紅の準優勝旗を手にした明豊。「結果に対して悔しい気持ちはあるが、ここまでやってきた過程には悔いはない」と語る川崎絢平監督が、第93回選抜高校野球大会の戦いを振り返り、24日から開幕する九州地区高校野球大会、そして夏の全国高校野球選手権大会に向けて思いを語ってくれた。

 

負けたことで欲も向上心も出てきた

 

Q:激闘の選抜高校野球大会から1週間。時間が経つにつれ準優勝の実感が湧いてきたのではないですか?

 春のセンバツは終わったこと。過去は過去なので夏に向かっています。全国で準優勝したからといって夏にアドバンテージがあるわけではない。夏(全国高校野球選手権大会)の県予選は初戦から積み上げていくしかない。別のチームをつくるぐらいの覚悟で選手間の競争を促したい。正直、この1週間は行事や入学式の準備などでバタバタしていて、まともに新1年生を見ることもできていません。

 

Q:センバツ準優勝をしたことで選手の変化は感じますか?

 自信になったとは思います。日本一になるために日頃から練習を積み上げていけば、階段は上っていけると実感できました。でも、実際はあと一つ勝ちきれず、負けたことで欲も向上心も出てきたと感じています。

 

Q:勝負に「たら・れば」は禁物ですが、大会を振り返って、あのときこうしていればという思いはありますか?

 この大会に関しては、結果に対して悔しい気持ちはありますが、試合内容や試合に至るまでの練習メニュー、取り組んできたことに何の後悔もないです。こうなったらいいと考えていたことがスムーズに出せました。

 

Q:準優勝に至るまでのポイントとなった試合は?

 初戦の東播磨(兵庫)戦は、持っている力全ては出せていなかったけれど、何とか結果を出して乗り越えることができた。選手はあんな試合内容で、このままではいけないと思ったはず。初戦を終えてからの練習は少し雰囲気が変わりました。甲子園で勝つのは簡単ではないと身をもって知ることができました。勝って反省できたのは良かったです。

 

Q:これからは県だけでなく、九州、全国から追われる立場となります。

 それは意識していません。九州を引っ張っていこうという思いは全くないです。外からどう見られて、どんな試合をしなければいけないという余裕なんてない。自分のチームが強くなるためだけで精一杯です。県予選を勝ち上がることさえ難しく、結果として九州、全国で勝てただけで。九州に明豊ありとは思わないです。

 

選手に競争を促す川崎絢平監督

 

危機感が原動力

 

Q:選抜高校野球大会の収穫は?

 守り。おおかたアウトにできるボールをアウトにして、堅実なプレーに徹してくれた。見えないミスは試合上であったのは確かですが、記録上は5試合ノーエラーで終えることができました。今年のチームは例年に比べて打てないので、守れないと勝てない。なのでキャッチボールのときから守りを意識してきた。守備が上手とかでなく、守れないと勝てないんだという意思統一みたいなものがあり、こういう結果になったと思っています。

 バッティングも、ここで流れが来るという場面で一本を打てました。最後の試合は、そこで一本が出なかったから負けた。準決勝までの試合は、欲しいときの一本が出たから勝てた。そこが野球の難しさ。ここ一番でヒットが出るか、ここ一番でエラーを出さずに守れるか。大会を通してここ一番の場面では勝負強さを出してくれました。

 

Q:では、課題は?

 ピッチャーの四死球。ノーエラーで終わったらそんなに点は取られないのに、無駄な四死球があるから失点になりました。最後の東海大相模(神奈川)戦で、相手はランナー2塁のとき、ヒットエンドランなど足を使って攻略し、糸口をつかもうというのがあった。膠着(こうちゃく)した試合で勇気を持って仕掛ける練習をしてきたのだと思いました。夏には大差の試合はないと思うので、ウチも、僅差でも思い切って仕掛けられるような準備をしないといけないです。

 

Q:24日から九州地区高校野球大会が始まります。

 甲子園出場メンバーに活躍してもらわなければいけませんが、それ以外の選手の活躍も期待したい。ウチは飛び抜けた選手はいない。同じ力を持った選手の層が凝縮しているので、新たな競争を生み出したい。

 多くの方に応援してもらい、期待をしてもらっているのは感じます。地元開催なので、ある程度結果にこだわらないといけませんが、夏に向けて逆算した大会にしなければいけない。選手起用などを練習試合で試すのは簡単ですが、レベルの高い九州大会で試して、そこで結果を出せば自信になる。試合に出ていた選手が危機感を持つようになれば夏に向けて強化できます。

 

Q:では最後に、選手に求めることは?

 危機感。このままでは勝てないんじゃないか、春はメンバーに入ったけど夏は?という危機感を持ち続けてほしい。このチームの良さは素直さであり、危機感を原動力にしてきました。僕ら指導者が投げ掛けたことを吸収して、行動で返してくれる。1つ言うと3、4の答えが返ってくる。それがこのチームの強さだと思っています。

 

 

九州大会は「夏に向けて逆算した大会にしたい」と語った 

 

 

(柚野真也)