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クラブ訪問 バレーボールの灯を守る 松岡クラブの挑戦 【大分県】

クラブ訪問 バレーボールの灯を守る 松岡クラブの挑戦 【大分県】

 週2回、水曜と金曜の夕暮れ時。体育館に響くのは、乾いたレシーブ音と子どもたちの声である。小学生バレーボールの県大会優勝の常連として知られる松岡クラブは、1年生から6年生までの男子が在籍し、近年は立て続けに全国大会へ出場。2024年は堂々の全国3位に輝いた。だが、その強さは量ではなく質に裏打ちされている。

全日本バレーボール小学生大会で3位となった

 「特別なことは何もしていませんよ」。代表兼監督の笹山光広氏は穏やかにそう語る。練習は週2回、午後5時から7時半までの2時間半。全国常連の他県チームがほぼ毎日練習する中で、この時間は決して長くない。それでも結果を出せるのは、基本の徹底に尽きる。アンダー、オーバー、スパイク。反復の積み重ねが、6年生になる頃には全国レベルに通用するプレーへと高まっていく。

 もちろん、ただ優しいだけではない。礼儀や挨拶、集中力には厳しい。「ボールは危険でもある。規律は守らせる」。叱るべきときは叱る。しかし熱血一辺倒の指導ではない。子どもが自ら憧れを抱き、目標を見つけることを重視する。九州大会や全国大会に出場した子どもたちは、明らかに目の色が変わるという。「経験が人を育てる。才能だけでは勝てない」。笹山代表の言葉は重い。

 今年1月には中学1年から3年を対象としたユースクラブも設立した。背景にあったのは、地域の部活動縮小という現実である。せっかく育った芽が中学で途切れてしまう。それを防ぎたいという保護者の声が動機となった。中体連大会への出場も可能となり、新2年生と新1年生を中心にチームを編成する。「勝ち負けよりも経験を」。その方針は一貫している。

今年から中学生を対象にしたユースチームが加わった

 特に県内の男子バレーボールは競技人口の減少が課題だ。中学校に部活動がない、指導者がいない。そうした理由で競技から離れていく子どもは少なくない。松岡クラブはその中学3年間の空白を埋めるため、小学生から中学生まで一貫して活動できる環境を整えた。成長の芽を途中で摘まないための受け皿である。

 「バレーが好きな子なら誰でも歓迎する」。門戸は広い。経験や実力は問わない。勝利至上主義ではなく、まずは続けられる場所をつくること。ボールに触れ、仲間と汗を流し、挑戦と失敗を重ねられる舞台を守ること。それが指導者としての使命だという覚悟がある。

 才能は後から伸びる。体格も、技術も、意識も、時間と経験が育てる。だからこそ、続けられる環境こそが最大の強化策だと笹山代表は考える。松岡クラブが掲げるのは、勝つための組織ではなく、未来へつなぐ拠点なのだ。


(柚野真也)

大会結果