鶴崎工業高校写真部 広瀬 劉偉(2年) file.893
カルチャー
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「第49回全国高校総合文化祭かがわ大会」で特別賞を受賞した大分商業高校書道部の谷杏華(3年)。受賞作は、地元・姫島の自然豊かな情景を思い浮かべながら、自身の感情を重ねて書き上げた書である。「大好きな地元の海を思い浮かべて創作した。まさか賞をいただけるとは思っていなかったので、とてもうれしかった」と静かに喜びを語る。この受賞は同部にとって創部以来初の快挙であり、日々積み重ねてきた真摯な取り組みが結実した瞬間であった。

谷が本格的に筆を握ったのは、高校入学後である。小学校の授業以来、書道とは距離のある生活を送っていたが、入学後に複数の部活動を見学する中で書道部の先輩と出会った。その姿に引かれ、未知の世界に足を踏み入れた。転機となったのは、一文字を書いた時の手応えである。「この文字だけはしっくりきた」。その感覚が、書くことへの興味を確信へと変えた。初めて自分の表現に自信を持てた瞬間であった。
幼少期から絵画を得意とし、数々の賞を受けてきた経験も、書に向き合う姿勢の土台となった。文字を線や形として捉え、全体のバランスを考える視点は、谷ならではの強みである。入部から間もなくして「第75回大分県学校書写書道展」で優秀賞、「第73回高文連書道中央展」で最優秀賞を受賞。書道歴の浅さを感じさせない結果を残した。

3年間指導にあたった鹿苑晋史講師は、「格好の良い文字を選び、自分が納得するまで何度も書き直す姿勢が印象的だった。最強の素人と呼べるほど成長した」と評価する。3年時には「第107回全国高校野球選手権大分大会」のテレビ中継用タイトルロゴにも抜擢された。行書を選んだのは、経験者が少ない分、自分の表現を届けられると考えたからである。「書道を知らない人にも届くように」。その思いを込めた「夢!甲子園」は、多くの視聴者の目に触れた。
鹿苑講師は「初心者でも可能性は等しくある。チャンスを選び取った結果だ」と語る。谷自身も「楽しいと感じることが一番大切。面白いと思えれば、自然と熱量は高まる」と振り返る。その思いが後輩たちに受け継がれることを願いながら、谷は書道部で得た経験を胸に、新たな一歩を踏み出そうとしている。
(塩月なつみ)
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