ダイヤの原石たち バスケットボール女子 藤岡澪(明豊2年)の試合を司る覚悟 【大分県】
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ダイヤの原石という言葉が、これほど似合う選手もそう多くない。バスケットボール女子の県高校新人大会を制した明豊。その原動力となったのが、吉松志菜(2年)だ。左膝に不安を抱え、出場時間は限られていた。それでも決勝の勝負どころ、第4クオーターに送り出されると、7得点を挙げ、攻守両面でリバウンドに飛び込み、停滞しかけた試合の流れを一気に引き寄せた。ゴール下で体を張り、相手を押し込みながらリングにねじ込むインサイドプレーは力強く、コートの空気を変える迫力があった。
だが、吉松の魅力はインサイドだけにとどまらない。3点シュートを含め、アウトサイドからも迷いなく放つことができる広いシュートレンジ。チーム随一のフィジカルを備え、「自分が主役になりたい」という強い自己主張も、エースの資質を感じさせる要素だ。

中学時代は、どちらかといえばアウトサイドでプレーする選手だった。明豊入学後、身長172センチの長身を見込まれ、インサイドへの転向を打診される。だが、コンタクトプレーは得意ではなく、気持ちが乗らない時期も長かった。好不調の波が大きく、納得できないことは譲らない頑固さもある。一筋縄ではいかない選手だった。
それでも杉山真裕実監督は、焦らなかった。「自分の現役時代と似ている」と語るように、その気質も含めて理解していたからだ。インサイドプレーヤーがチームにどれほど必要か、吉松がゴール下で体を張ることで勝利に近づけることを、時間をかけて丁寧に伝え続けた。「納得すれば、必ずやる」。その確信があった。
杉山監督自身、現役時代は「スラムダンクの桜木花道みたいだった」と笑う。外角は得意ではなく、ゴール下で体をぶつけ合い、オフェンスリバウンドを奪って得点を重ねる“ガツガツ系”。その姿と吉松の可能性が重なった。ただし、「アウトサイドに相手を引っ張り出せる器用さもあるし、スリー(3点シュート)も打てる。その良さは消さない」。杉山監督は、インサイドを軸にしながら、より幅のある選手へと育てる構えだ。

吉松自身も葛藤を抱えながら前に進んでいる。「アウトサイドもインサイドも半々でやりたい」。監督の要求と自分の理想。その間で揺れながらも、「主人公が好き。桜木花道のようなプレーをしてもいいと思えてきた」と語る表情は前向きだ。外角にシューターがそろう新チームでは、「リバウンドは全部取りたい」という役割意識も芽生えている。
直近の目標は2月にある九州大会でのベスト4入り。そのためには対戦相手となるチームの留学生にも当たり負けしないフィジカルを身につけること。そして、「強いところでバスケがしたかった」と選んだ明豊で、コートの主役になることだ。インサイドとアウトサイド、その両方を武器に吉松という原石は確実に磨かれ始めている。
(柚野真也)
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