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ウインターカップ 男子 柳ケ浦が初戦突破も胸を張れない理由とは 【大分県】

ウインターカップ 男子 柳ケ浦が初戦突破も胸を張れない理由とは 【大分県】

第78回全国高校バスケットボール選手権大会(ウインターカップ)
12月23日 東京体育館
男子1回戦
柳ケ浦73(21―13、25―19、15―12、12―21)65八千代(千葉県)

 ベスト8以上をノルマに掲げる柳ケ浦にとって、ウインターカップ初戦は決して胸を張れる内容ではなかった。それでも、勝利という最低限の結果だけは手にした。東京体育館で行われた男子1回戦。柳ケ浦は八千代を73―65で下し、次戦へと駒を進めた。

 試合の入りは理想的だった。序盤からエースのファデラ・ママドゥ(2年)がゴール下を支配する。207センチの長身を生かし、力強いドライブと豪快なダンクで会場を沸かせた。第2クオーター(Q)に入っても主導権は渡さない。第2の得点源、儀間クリスチャン(3年)が着実に加点し、前半を46―32で折り返した。

16点を挙げた儀間

 だが、流れはそのまま収束しなかった。八千代の強度の高いディフェンスに対し、柳ケ浦はターンオーバー(シュート以外のパスミス、ドリブルミスなどによって攻撃権が相手チームに渡ってしまうこと)を重ねる。中村誠監督の狙い通り、ベンチ入り15人全員がコートに立ったものの、攻撃のリズムは乱れたまま。後半は主力を温存しながら試合を進めたが、第4Qの早い時間帯に、点差は10点まで縮まった。

 ここで中村監督が送り出したのが、司令塔の古謝脩斗(3年)だった。相手が剛なら、古謝は柔で応じる。力でねじ伏せるのではなく、巧みなハンドリングで圧を受け流し、間合いをずらしながらゲームを支配する。視線一つでディフェンスを外し、ノールックパスで観客をどよめかせる場面もあったが、真価はそこではない。ボールを運び、時間を使い、味方を落ち着かせる。荒れかけた試合の空気を、静かに整えていった。「自分がビビったら、チームの雰囲気は一気に崩れる」。その自覚が、迷いのない判断と落ち着いたプレーを生み、柳ケ浦は再び自分たちのリズムを取り戻していった。

試合の流れを作った古謝

 終盤はフリースローで確実に加点し、逃げ切りに成功した。ただし、内容への評価は厳しい。中村監督は「最悪に近い試合。ウチがやりたかったバスケットではない」と振り返る。前半だけで2桁に達したターンオーバー、強度への対応不足。課題は明確だった。

 それでも、収穫がゼロではない。15人を起用し、勝ちながら次につなげたこと。儀間も「最低限の仕事はできたが、まだまだ。リバウンドと得点で勝利に貢献したい」と前を向く。勝ったからこそ、突きつけられた現実がある。修正なくして、先はない。だが、この苦い初戦を糧にできるかどうかが、チームの本当の力を見極める試金石となる。


(柚野真也)

大会結果