国スポ 期待高まるチーム大分 今年も千点以上目指す 【大分県】
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トリニータ 新キャプテン高木駿 チームの“柱”となる「俺は俺の責務を全うする」
昨年末にかかってきた一本の電話。声の主は片野坂知宏監督だった。「新シーズンからキャプテンをやってくれないか」。今季、大分トリニータのキャプテンとなった高木駿がキャプテンに任命されるまでの経緯を話した。「ノリ(6年在籍した鈴木義宜)が移籍して心構えは少しあった。これまで盛り上げ役だったけど、トリニータを強いチームにしたい思いはあった」。指揮官直々の依頼に即答しようと思ったが、じっくりかみしめて、「カタさん(片野坂監督)の指名であれば喜んで」と引き受けた。電話を切ってから「駿なりのキャプテンになってくれ」との言葉を反すうした。
2017年に川崎から移籍して5年目になる。「プロになって一番長く在籍するチーム。大分は温かい人ばかりで、ここは第二の故郷になっている」と言い切る。2018年から唯一無二の守護神となった。GKからパスをつなぎ、攻撃を組み立てる大分のサッカーの代名詞的存在だ。「カタさんに出会えて新しいサッカーを知り、自分の武器を最大限に発揮できるようになった」との思いは強い。
「強いチームにしたい」と語った
キャプテンとしての初仕事は、チームが始動した日のミーティングでの所信表明だった。「互いのことを分かり合う関係をつくろう。そこが大きくなればプレーでの連係にもつながる。(長く在籍した)ノリやトモキ(岩田智輝)らがいなくなったが、これまでのいいところは継承したい。勢いのある、力強さのあるチームにしたい。結果も順位も大事だが強いチームになりたい」。直観型で話し好きの男だから、思いが次々に溢れたのだろう。「長くしゃべり過ぎたので伝わったのか…」。不安はあったが、「高木がチームを引っ張る姿勢を見せた」と伊佐耕平の言葉を聞く限り、新キャプテンの決意は届いていたようだ。
初日の練習を終え、レクリエーションを兼ねたメニューが多かったフィールドの選手からは楽しそうな声が響いたが、GKの練習は異なった。「初日からキツかった。ついに始まったという感じ」と、これから始まる地獄のメニューに戦々恐々であったが、表情は終始笑顔。「新しい選手が入り楽しい雰囲気でやれている」と新シーズン到来の喜びをかみしめていた。高木のGKとしての職業的長所は、鋭い反応やフィールド並のパスの精度なのかもしれない。しかし、最大の魅力は、明朗快活なキャラクターであり、サービス精神であり、その裏にあるクラブや仲間、ファン、サポーターへの愛情なのだ。キャプテン決定の際のクラブコメントで「炎のように熱い心で取り組んでいきます。“俺は俺の責務を全うする”」と結んでいるが、言わずと知れた人気漫画の劇場版で、ある登場人物が語ったセリフだ。今季、高木駿はチームの“柱”となる。
初日の練習に向かう高木駿
(柚野真也)