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冬の主役たち サッカー女子 国スポ組の台頭 大暴れの予感あり 【大分県】

冬の主役たち サッカー女子 国スポ組の台頭 大暴れの予感あり 【大分県】

 全日本高校女子サッカー選手権で日本一を目指す柳ケ浦は、上級生だけに頼らないチームへと進化を遂げつつある。その原動力となっているのが、下級生の確かな底上げだ。今秋の国スポでは、1年生を中心とした16歳以下の単独チームで挑み、堂々の準優勝。結果だけでなく、全国の強豪と渡り合える手応えをつかんだ大会だった。林和志監督は「この世代から全日本選手権の先発に食い込む選手が必ず出てくる」と語る。

チームを底上げする国スポメンバー

 その中心にいたのが、早生まれの2年生コンビ、竹田美佐也と中溝桃だ。国スポではダブルキャプテンとしてチームを率い、ピッチ内外で存在感を示した。竹田はU―16日本代表候補にも選ばれた逸材で、年代トップレベルの選手たちと強化合宿を経験したことが、大きな転機となった。「自分が中心になって引っ張らなければいけないという自覚が芽生えた」。林監督の言葉通り、プレーには責任感がにじむ。左足から放たれる高精度のキックとロングスローは、セットプレーの大きな武器だ。独特の軌道が相手守備を揺さぶり、決定機を生み出す。本人も「考え方が変わった」と語るように、守備への意識が高まり、対人の強さに自信を得たことで、積極的な攻撃参加から得点に絡む場面も増えてきた。

 一方、中溝は林監督が「ザ・柳ケ浦」と評する存在である。本職は中盤のサイド。ハードワークをいとわず、攻守にわたって走り続ける姿勢は、まさにチームの象徴だ。国スポではチーム事情から、普段とは異なるサイドバックを任され、その中で対人対応やポジショニングなど守備面にさらに磨きをかけた。持ち味のスピードを生かした縦突破は健在で、クロスの質も高い。「全国の強豪相手にも自分の武器が通用することが分かった」という実感が、プレーに力強さをもたらしている。その自信は、果敢な攻撃参加として表れ、サイドから何度も仕掛けてチームに勢いを呼び込む。中盤のサイドを主戦場とする中溝の存在は、攻撃の推進力であり、同時に守備の安定を支える要となっている。

国スポ準優勝に貢献した中溝(左)と竹田

 経験を積んだ下級生たちは、いま確かな自覚と自信を身に付けつつある。竹田と中溝の成長は、チームの層を厚くするだけにとどまらない。国スポを戦った他の下級生たちもまた、全国基準の強度とスピードを体感し、それぞれが自分の立ち位置を見つめ直している。厳しい試合を乗り越えた経験は、日常のトレーニングの質を押し上げ、チーム全体の基準を引き上げている。

 冬の全国舞台で、誰がピッチに立ち、どんな役割を担うのかは未知数だが、確かなのは選択肢が増えたという事実だ。下級生の台頭が競争を生み、戦い方に幅と厚みをもたらす。個の成長を束ねながら、間もなく始まる全国舞台で大暴れしそうだ。


(七蔵司)

大会結果