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冬の高校スポーツ全国大会 バレーボール男子 3年間の蓄積 全員が主役となる大分南 【大分県】

冬の高校スポーツ全国大会 バレーボール男子 3年間の蓄積 全員が主役となる大分南 【大分県】

 3年連続の全日本バレーボール高校選手権大会(春の高校バレー)の舞台に立つ重みを、大分南は知っている。柿原茂徳監督は「3年連続で出場できるのは大きい」と言い切る。宿泊、移動、東京での練習環境など、過去2年で蓄積したノウハウを細部まで生かし、チームは落ち着いた準備で本番を迎える。

 コートの軸には、芦谷稔と宮永晃宏の3年生2人がいる。1年時から全国の空気を吸ってきた経験は、緊張を平常心に変える力を持つ。嵯峨史都、仲本路惟ら主力の下級生も中学時代から全国を知る。浮き足立つ要素はない。柿原監督が強調する勝ち筋は明確だ。「3年生がチームを引っ張り、レセプションとディグを練習通りに出せれば、必ず勝機は来る」。派手さではなく、土台で勝つ。

笑顔で3年生がチームを支える

 初戦は東海大相模。激戦区の神奈川を高さと完成度で勝ち上がった相手だが、柿原監督に迷いはない。「五分五分。春高は勢いがものを言う。我々にはその流れをつかんできた経験という財産がある」。過去2年の全国舞台で、立ち上がりの緊張、一本のレシーブが流れを変える瞬間、そのすべてを体で覚えてきた。勝てば関根学園(新潟)と強豪が続くが、先を見据えることはしない。一戦必勝。目の前の1点、目の前の1セットに集中し、試合のリズムを自分たちの手で引き寄せにいく。視線は、常にコートの中にある。

 得点源は、エース井手平夏和を含む3年生トリオだ。芦谷、宮永が打ち切り、井手平に良い形でセッターの仲本がボールをつなげるかがポイントとなる。県予選決勝では2セットを先に失いながらも逆転し、3連覇を成し遂げた。追い込まれても、誰も諦めなかった。井手平は「最後の大会。これまでで一番バレーを楽しめている。100%を出し切る」と言葉に力を込める。

トスワークで仲間の力を引き出す仲本

 今季も大分南は「脳の使い方を変える」ブレイントレーニングを取り入れている。専門のメンタルトレーナーを招き、集中力の高め方や自己肯定感の引き出し方を学ぶ。練習前には音声による自己暗示と呼吸、イメージトレーニングを取り入れ、日々の気づきはブレインノートに書き留める。思考を更新し、自らの殻を破るための習慣が、試合での一歩を後押しする。

 絶対的なスターはいない。だが、全員が主役になれる。「試合ごとにシンデレラボーイが出てくれば勢いづく。ウチは全員バレー」。柿原監督の不敵な笑みが、その言葉の裏付けだ。得点を奪う者だけでなく、一本をつなぐレシーブ、流れを断ち切るディグ、ベンチからの声。すべてが勝利の一部となる。3年間の積み重ねに、思考法という武器を重ねたチームは、試合の中で何度でも姿を変えられる。主役は固定されない。だからこそ、強い。チーム一丸で、着実に一歩ずつ勝ち上がっていく。


(柚野真也)

大会結果