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冬の高校スポーツ全国大会 サッカー男子 全国1勝へ 大分鶴崎の揺るがぬ信念 【大分県】

冬の高校スポーツ全国大会 サッカー男子 全国1勝へ 大分鶴崎の揺るがぬ信念 【大分県】

 2年連続8回目の全国高校サッカー選手権に挑む大分鶴崎。初戦の相手が山形明正と決まった。ボールを保持し、パスをつなぐスタイルはよく似ている。首藤謙二監督は映像を繰り返し見て、「立ち位置が違うぐらいで同じスタイルのチーム。ボールを奪った後は、どちらもチャンスが出てくる。攻守の切り替えがポイントになる」と読み解く。奪ってからどれだけ早く、どれだけ精度高く前進できるか。主導権を握るための細かな分析と対策を選手たちに落とし込む作業は続く。

戦術を落とし込む首藤監督

 チームの軸を担うのは、キャプテンの河野歩夢(3年)だ。この1年で感情の波が小さくなり、「イライラすることがなくなった」と首藤監督は成長を評価する。ドリブルで打開する力に加え、周囲を生かすパスとの使い分けができれば、もう一段上のレベルに届く。県予選決勝では同点ゴールを決めて流れを引き寄せた河野は、「チームを勝利に導く得点やアシストをしたい」と静かに闘志を燃やす。「このメンバーでサッカーができる最後の大会。3年間一緒にプレーした3年とは笑って終わりたいし、後輩には全国で勝つ姿を見せたい」と、仲間と後輩への思いも口にする。

 昨冬の全国選手権、今夏の全国高校総体はいずれも初戦敗退。「全国1勝」は遠く、今大会はその1勝を最低限のノルマと位置づける。センターバックの片島啓太(同)は「前の選手が必ず得点を取ってくれているので、僕ら守備陣が無失点に抑えれば勝てる」と話し、ゴールキーパーの大倉公亮(同)も「まずは1勝。全国で勝つ喜びを味わいたい」と声をそろえる。

 大分鶴崎の代名詞であるパスサッカーは、今季さらに磨きがかかった。最終ラインから丁寧に攻撃を組み立て、テンポよくボールを動かしながら複数の選手が関わっていく。ただし、つなぐことに固執はしない。前線にスペースが生まれれば、迷わずロングボールで一気にカウンターを狙う。多彩な攻撃パターンは、相手守備に的を絞らせない。

まずは全国1勝を目指す

 そのスタイルを支えるのが、豊富な経験を持つ3年生たちである。今年は6月に部を離れず、13人の3年生が残った。昨年の全国選手権を経験した選手も多く、全国の空気と強度を知る世代だ。加えて、シーズンを通じて全国各地の強豪校と練習試合を重ねてきたことで、格上相手にも臆せずボールを握りにいける自信を身に付けた。

 首藤監督は「スペースは空くので落ち着いて試合を進めたい。自分たちの色を出せたら勝機はみえてくる」と語る。相手と似たスタイルだからこそ、どちらが「らしさ」を出し切れるかの勝負になる。パスで主導権を握り、守備陣がゼロで締める。自分たちのサッカーを貫くストロングスタイルで悲願の「全国1勝」、そして、その先までを見据えている。


(柚野真也)

大会結果