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7/3 THU 2025

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トリニータ 今シーズン総括 一丸となって危機を脱したが、再度攻撃面のテコ入れが必要

トリニータ 今シーズン総括 一丸となって危機を脱したが、再度攻撃面のテコ入れが必要

今季の成績

11位 勝点43 総得点36 総失点45

 

 攻撃陣をテコ入れし、得点力アップとオプション増加に取り組んだ今季は、下位争いに巻き込まれることなくシーズンを終了。コロナ禍で思うような練習ができず、練習試合のマッチメークも難しい状況が続いた。選手のコンディションにバラつきがあり、新加入選手にけが人が続出する不運もあり、目標の「勝点55、総得点50、総失点35で6位」には及ばなかった。

 

 今季は好不調の波が大きく、連戦で疲弊するなか、第5節G大阪戦から5連敗することもあった。「自分たちの狙い、やりたいサッカーができているときは迷いがなくプレーできたけど、負けが続くと疑心暗鬼になり、連戦で頭の整理もできずにずるずるいった感じはあった」(鈴木義宜)。選手の間から戸惑いの声も聞かれたが、片野坂知宏監督が選手への要求を明確にすることで快方に向かった。

 

 大分のサッカーの肝となるボールを動かすテンポを上げ、サイドを起点とする攻撃の形を徹底する。その際に選手に選択肢を与え、相手の動きを見ながら判断することを求め、ゴールへの経路が増えた。守備においても自陣でブロックを作るのか、前線からプレッシャーをかけるのか明確にした。その手綱を締めたのが鈴木だ。「前線の選手が周りを見ながらプレッシャーをかけるより、捨身じゃないけどボールを奪う覚悟でプレーした方が圧を感じる。前から行くときは後ろを気にしないでいいと言った」。チーム全体に共有イメージが生まれた。

選手への要求を明確にすることで連敗を脱出した

 

 後半戦は野村直輝や町田也真人ら新加入選手が「チームの決まり事」だけをこなすのではなく、自分の持ち味を出す余裕が出てきたのも大きい。得点に絡む場面が増え、片野坂監督は「選手交代で戦い方の幅ができた」と来季への手応えを口にした。しかし、決定機の数は増えたが決定力不足は解消されていない。チーム最多得点はMFの田中達也の8点。FW陣はJ1初挑戦の高沢優也が6得点と奮闘したが、期待された知念慶は3点、渡大生は2点に終わった。

 

 来季は片野坂体制6年目。チームの方向性がしっかりと示されている印象はあるが、強化すべきは間違いなく前線だ。結果が伴わないと狂いが生じるのは目に見えている。20チームで争い、4チームが降格する厳しいシーズンになる。総得点36というもろい攻撃面を再度テコ入れする必要がある。

 

来季の続投が決まった片野坂知宏監督

 

 

(柚野真也)