モンスターカップで証明する自分の強さ ボクシングライト級・田中敦己(鶴崎工業2年) 【大分県】
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県高校新人大会 ボクシング 大分工業が4年ぶりの頂点 日々の積み上げが力に変わる 【大分県】
ボクシングの県高校新人大会で、大分工業が4年ぶり2度目の優勝を飾った。個人戦でも2階級で優勝者を出し、計7人が九州大会への切符をつかんだ。県内最大の部員数を誇るチームは、かつてない活気に満ちている。
今年の特徴は、1年生の大量入部だ。新たに20人が加わり、部員は2学年で計26人。石川義隆監督は「部の雰囲気が一気に明るくなった。その勢いが2年生の刺激にもなり、チーム全体のレベルが上がった」と手応えを語る。入部の背景には、監督の丁寧なアプローチがあった。ボクシングが“ただの殴り合いではない”ことを伝えるワンペーパーを配布し、競技の魅力を保護者と生徒に分かりやすく説明したという。こうした地道な努力が、県内随一の大所帯を生み出した。

大会で存在感を放ったのが、中路剛瑠(2年)と平川拓夢(1年)だ。中路は中学からの経験者で、力強いパンチを武器に優勝をつかんだ。体力面の不安を克服し、練習の積み重ねが自信に変わった。一方の平川は未経験者ながら、距離感をつかむセンスで頭角を現した。「自分の間合いで戦える子。感覚的にボクシングを理解している」と石川監督は目を細める。
練習のテーマはあくまで基本。構え、フットワーク、打つ・避ける・守るの動作を徹底的に磨く。石川監督は「ボクシングは経験が何より大切。リングに立って初めて分かることがある」と語る。九州大会では勝ち負けよりも経験を重ねることを第一に考えている。
九州大会では、日章学園(宮崎)や東福岡といった全国屈指の強豪校が待ち受ける。石川監督は「ボクシングは8割が実力通りに決まる競技。リングに上がれば、わずか10秒で勝負の行方が見えてくる」と話す。つまり、勝敗を左右するのは、試合当日の一瞬ではなく、それまでの練習の積み重ねだ。だからこそ、大分工業は一日一日の努力を怠らない。厳しさを知る者ほど、基本を磨き続ける。
「努力は報われないこともある。でも、練習は裏切らない」(石川監督)。この言葉こそ、大分工業ボクシング部の根幹だ。短期間で技術を伸ばすことは難しい。それでも、体調管理とモチベーションを保ち、九州の強豪に挑む姿勢を崩さない。
拳を交わすその先に、確かな成長がある。4年ぶりの優勝は通過点にすぎない。全国を見据える挑戦が始まった。

(柚野真也)