OITA SPORTS

7/1 TUE 2025

supported by

二階堂酒造

バレー バレー

コロナ禍の高校3年生たち④  女子バレー 室岡莉乃(東九州龍谷) 高校最後の舞台で日本一連覇を狙う

コロナ禍の高校3年生たち④  女子バレー 室岡莉乃(東九州龍谷) 高校最後の舞台で日本一連覇を狙う

 新型コロナウイルスの感染拡大で次々と大会が中止となった2020年。県や、それぞれの競技独自の大会で練習の成果を発揮できた者もいれば、不完全燃焼のまま競技を辞めた者もいる。多くの高校3年生にとって想定外だった1年間を振り返り、今後はどのような道を歩むのか、「コロナ禍の高校3年生たち」と題してそれぞれのドラマをひもといた。

 

 日本一連覇の挑戦が始まったー。今年1月の全日本バレーボール高校選手権大会(春の高校バレー)で8年ぶりの優勝を決めた東九州龍谷高校(東龍)。直後のインタビューで、当時2年生ながらMVPに選出された室岡莉乃(3年)は「連覇を目指す」と宣言した。「チームとしても、自分のプレーにも満足することはない。自分たちの代で、もう一度日本一を目指したいと思った」と当時を振り返る。それは虚勢ではなく、あくなき向上心から湧き出た言葉だった。

 

 日本一の余韻に浸ることなく新チームがスタートし、キャプテンとなった。竹内誠二監督は、「誰もが認めるエース。室岡以外にキャプテンは考えられない」と指名する。エースとキャプテンの負担を背負わせることで成長を促す狙いもあった。コロナ禍で体育館が使えず、練習できない日々は、寮での自主練習で体幹やスパイク時のフォーム見直しに時間を費やすとともに、入学間もない1年生と積極的にコミュニケーションを図り、日本一を目指すチームのあり方、心構えを押し付けることなく伝えた。「最終学年になり周りを見るようになった。僕が指示する前に言いたいことをみんなに伝えてくれる。素晴らしいリーダーになった」(竹内監督)。

 

春の高校バレーに向けてギアを入れ替える

 

 もちろん選手としては、日本の高校トップクラス。今年は全国規模の大会がことごとく中止となったが、高い目標を持って練習した。当然、試合勘は鈍ったが、「今できることを確かめた」。春の高校バレー県予選では本調子とはほど遠く、セッターとのコンビネーションもかみ合わなかった。室岡頼みになる場面が多く、常に2枚のブロックにマークされる状況下で収穫もあった。「トスが高ければ助走距離が取れた。相手のブロックの上から打ち込めると思った」と強気だ。実際に決勝の3セット終盤ではセッターに高いトスを要求し、3連続ポイントを奪って試合を終わらせた。「悪いなりにチームとしては勝てたし、全国に向けて課題を見つけることができた」と日本一連覇に向けて、残り2カ月でギアを上げるつもりだ。

 

 身長163㌢、東龍史上最も小さなエースが、チームの浮沈を決めると言っても過言ではないだろう。最高到達点は297㌢と驚異のジャンプ力と右腕から繰り出されるスパイクの精度で頂点を目指す。「勝負が懸かる場面でポイントを決めたい。それが日本一になるために必要なことだし、エースの役割だと思う」と強い気持ちで高校最後の舞台に挑む。1年生の頃からコートに立ち、日本一を宿命づけられたチームとともに成長した。東龍の強さはどこにあるのかと問うと、強い語気で言葉が返る。「コートに立って考えることは一つだけ。日本一になるのは自分たちだということ」。勝利への執念がプレーに宿る。

 

エースとして日本一連覇に導く

 

 

(柚野真也)