
ウインターカップ前夜 火花散るライバル関係 注目の視線が交差する 男子編(1) 【大分県】
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全国高校バスケットボール選手権大会(ウインターカップ)の大分県予選で、女子は27校が出場している。3連覇を狙う明豊を追うのは、確かな成長を見せる大分。速攻が持ち味の藤蔭、シュート力を磨く中津北も頂点を見据えて力を蓄えてきた。準々決勝から登場するシード4校を軸に、白熱の優勝争いが繰り広げられそうだ。今回は、その4校の戦力と注目ポイントを紹介する。
ウインターカップ県予選、明豊が3連覇を懸けて挑む。全国高校総体、そして全国の強豪が集う「U18日清食品ブロックリーグ」で培った経験が、チームの芯を太くした。杉山真裕実監督は「個の力では他校の方が上かもしれないが、団結力と絆では負けない」と語る。勝ち続ける理由は、派手さよりも手堅さ。守備が崩れず、誰もが自分の役割を理解して遂行する。明豊の勝利の方程式は、そんな「当たり前」の徹底にある。
もっとも、今季は順風満帆ではなかった。監督自身が日本バスケットボール協会のA級ライセンス取得や国スポの指導を兼務したため、十分な時間を選手に割けなかった。それでも、チームは崩れなかった。主力のポイントガード豊東苺子(2年)がけがで離脱するという苦境も、むしろ団結を深めるきっかけになった。「豊東をウインターカップに連れて行く」という共通の思いが、チームの一体感を強めている。
その穴を埋めるように台頭したのが藤岡澪(2年)だ。全国の舞台を経て勝ち気さをうまくコントロールできるようになり、ゲームの流れを読む力が備わった。平倉千春(3年)は攻撃のリズムを握るキープレーヤー。調子に波はあるが、爆発力を秘める。杉山監督は「弱気にならず、パスに逃げないこと」と期待を込める。攻撃の中心にはセンターの下田来美(3年)。徹底マークを受ける中で、周囲のシューター陣がどれだけ決めきれるかが勝敗を左右する。
そしてチームの精神的支柱がキャプテンの中島綾香(3年)だ。1年の頃から全国を経験してきた冷静な職人であり、杉山監督も「影武者のような存在」と信頼を寄せる。中島が淡々と仕事をこなすことで、チーム全体が安定する。中島は「県予選は絶対に勝たなければいけない。周りの持ち味を引き出しながら、流れが悪い時は自分が変える」と力強く言い切った。
個ではなく、全員で戦うチーム。豪華さよりも粘り強さ、派手さよりも安定感。杉山監督は「昨年までとは強さの質が違う」と表現する。勝負どころで守備が崩れず、淡々とリバウンドを拾い、声を掛け合い、次のプレーへと切り替える。そうした積み重ねこそ、明豊の“勝つ文化”を支えてきた。
3連覇を懸けた戦いは、決して容易ではない。打倒・明豊を掲げる挑戦者たちの包囲網は厚い。それでも、選手たちは迷わない。目指すのは全国ベスト8、そして仲間と共に再び冬の舞台へ立つこと。その道のりの先にあるのは、3年間積み上げた絆と誇りの証明だ。
(柚野真也)
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