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ヴェルスパ クラブ初の天皇杯4回戦進出、攻守両面で順調な歩み

ヴェルスパ クラブ初の天皇杯4回戦進出、攻守両面で順調な歩み

 JFL第25節の松江シティFC戦から中2日、天皇杯JFA第100回全日本サッカー選手権大会3回戦に臨んだヴェルスパ大分は、先発メンバーを8人入れ替えた。前半は「いつもと違うメンバーだったのでバタバタしてしまった」と須藤茂光監督が振り返ったように、前と横の連係がなく、大きくボールを蹴るシーンが多かった。それでも失点をゼロに抑えたことが後半につながる。

 

 ハーフタイムに選手から「守備が機能していない」との声が出たが、須藤監督は「攻撃のときにボールを保持して揺さぶろう。そうすれば守備は改善できる」と指示を出す。すると後半は攻撃の時間が長くなり、敵陣でプレーする時間が長くなった。ボールを奪われても、前線からプレスをかけ、ボランチが高い位置を取ることで陣形がコンパクトになり、守備の切り替えが速くなった。

 

 次第に相手へのプレッシャーも強まり、ミスを誘発すると、52分に宮内寛斗のインターセプトから前田央樹にパスが渡った。前田はドリブルでシュートコースが空くタイミングを見計らい、先制弾をたたき込む。長い均衡を破り、試合の流れを呼び込むと、62分には右サイドでスローインを受けた宮内がドリブルで中央に切れ込み、右足一閃(いっせん)。「あの得点が大きかった」と指揮官が勝利を確信する追加点を奪う。試合終了近くに失点をしたが、終始主導権を握り、クラブ初となる4回戦進出を決めた。

 

先制点を決めた前田央樹

 

 今のヴェルスパは結果が出ることで自信がつき、自信が膨らむことで次の結果へとつなげている。「勢いもあるがチームとしてまとまっている」(前田)と、良いスパイラルが好循環を生み出している。JFLで首位を独走し、天皇杯でも勝ち進む。

 

 良いスパイラルを生んだ要因は、3年目の須藤体制でブレずに突き進んだところにある。結果に一喜一憂せず、目の前の試合に集中してきた。ボールを保持して、ピッチの横幅を使った攻撃は、ポジションごとの役割を選手が細部まで理解し、誰がどこでプレーしてもオートマチックに機能するようになってきた。守備においても、リスクマネジメントを意識した戦い方が板に付いてきた。

 

 攻守においてポジティブな要素が増えている。しかし須藤監督は、リードしてからの試合運び、追加点を奪いきる決定力不足も、克服すべき課題として目をそらさず、一つずつ実力を積み上げていく構えだ。「サッカーの基本である“切り替え”や“球際”のところを重要視して、少しずつうまくなっていきたい」と常々話す。

 その速度はゆっくりかもしれないが、確実に自力を付けながらヴェルスパ大分は前に進んでいる。

 

チームの一体感が結果につながっている

 

 

(柚野真也)

大会結果