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全国高校サッカー選手権県予選特集(8) 昭和学園 堅守速攻と日常の積み重ねで4強目指す 【大分県】

全国高校サッカー選手権県予選特集(8) 昭和学園 堅守速攻と日常の積み重ねで4強目指す 【大分県】

 高校サッカーの集大成となる全国高校選手権大分県予選が、いよいよ10月18日に開幕する。36校34チームが出場し、1回戦から熱戦が繰り広げられる。大分鶴崎が頭一つ抜けた存在として優勝候補筆頭に挙がるが、挑戦者たちも大舞台を目指し闘志を燃やしている。果たして冬の切符を手にするのはどこか。本特集では、その主役候補となるシード8校を余すことなく紹介する。最終回は、堅守速攻と日常の積み重ねで、新たな歴史を刻もうとしている昭和学園だ。

 松本侑樹監督が就任して5年目。昭和学園はようやく安定して結果を残せるチームへと変貌を遂げた。新チームは県高校新人大会、県高校総体ともにベスト8入り。さらに夏の県私学大会では同校初の優勝を果たし、今大会ではシード校として4強入りを狙う位置につけている。

 ここまでの道のりは決して平坦ではなかった。就任当初から松本監督は「走ること」「球際で負けないこと」を徹底し、技術で劣る部分を補うための哲学を注ぎ込んできた。ベースは5バックの堅守速攻。守備で耐え、攻撃に転じれば一気に縦を突く。この古典的ともいえるスタイルは、パスサッカー全盛の時代に逆行するように見える。しかし、松本監督は揺るがない。「他と同じことをしても仕方がない。堅守速攻を突き詰めて『強い』と思わせるチームをつくりたい」と強調する。

 守りを固めるだけでは終わらない。勝負どころでは3バックに切り替え、攻撃的に出る柔軟さもある。リスクを取る勇気は、選手たちが積み上げてきた経験に裏打ちされている。昨年の3年生が残したサッカーに取り組む姿勢が今のチームに浸透し、ベスト8という壁を越える原動力になっている。松本監督は「結果が出ることでスタイルへの自信が生まれる」と語る。私学大会での初優勝は、まさにその象徴だった。

サッカーのベースの部分を徹底する松本監督

 ただ、松本監督が重視するのはピッチ上の戦術だけではない。むしろ日常生活が重要という。あいさつ、ごみ拾い、トイレのスリッパをそろえるといった小さな行動を大切にと説く。「そうした積み重ねが結局はピッチでの戦いに表れる」。高校生だからこそ学ぶべき基本を怠らず、当たり前を当たり前にやり切る。その姿勢が、技術以上に勝敗を左右するという信念がある。

 戦力面での強みは3年生のまとまりと組織力だ。個人の力に頼らず、全員が責任を背負う守備はチームの核である。評価でも8点と高く位置づけられるのは、その徹底ぶりの証だろう。そして、その中心にいるのがキャプテンの岩沢春弥(3年)だ。寡黙ながら人間的にも精神的にも大きく成長し、仲間からの信頼も厚い。守備力に優れ、最終ラインとボランチを兼ねる万能性はチームの安定感を支える。

 全国選手権県予選に向け、チーム状態は悪くはない。松本監督の掲げる「堅守速攻と日常の積み重ね」が、8強の壁を打ち破り、新たな歴史を刻む原動力となるか注目だ。

(柚野真也)

大会結果