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春の高校バレー県予選展望 女子(4)東九州龍谷 挑戦者の覚悟で頂点を目指す 【大分県】

春の高校バレー県予選展望 女子(4)東九州龍谷 挑戦者の覚悟で頂点を目指す 【大分県】

 高校バレーの最高峰・春の高校バレー。その出場権を懸けた県予選が10月25日に開幕する。女子は26年連続41回目の全国切符を狙う“絶対王者”東九州龍谷が、依然として優勝候補の最右翼だ。対抗馬の大分商業をはじめ、他校も頂点を射程にとらえている。熾烈(しれつ)な戦いを制して全国の舞台への扉を開くのはどのチームか。熱戦の幕開けを前に、その行方を占う。

 優勝候補筆頭の東九州龍谷(東龍)は、まず国スポに全神経を注いでいる。4月に相原昇前監督が離任し、竹内誠二コーチが監督就任して5カ月。全国高校総体から国スポ九州ブロック、天皇杯・皇后杯全日本選手権九州ブロックラウンドと続く連戦の最中でも、チームは落ち着いている。大きな戦術変更はなく、昨年からの主力が軸を保つ。練習量を細かく調整して故障を予防し、けが人はなし。トレーナーやマネージャー不在で竹内監督の負担は増したが、選手との距離感は近すぎず遠すぎず、従来の温度で統率している。

 強化の中心は守備にある。攻撃力は昨年より確実に伸びているだけに、勝敗を決めるのはブロックとレシーブのかみ合わせだ。竹内監督は「守備の精度こそが勝負を分ける」と強調する。全国大会は抜きん出たチームがなく、実力は拮抗(きっこう)している。だからこそ「持っている力を120%出し切れるかどうか」が、頂点に立つための最大の条件になる。

攻撃力は昨年以上

 チームの中心はキャプテンの藤崎愛梨(3年)だ。守備でも攻撃でも安定感を増し、試合を落ち着かせる大黒柱となっている。藤崎はチームメイトに「いつも挑戦者の気持ちで臨もう」と繰り返す。全国総体を通じて、技術だけでなく“レシーブへの執念”や“細かな部分への気づき”が勝敗を左右すると実感したという。「苦しい時こそ笑顔を忘れず、ここ一番で仲間に頼られる存在になりたい」と強い覚悟を口にする。

 エース忠願寺莉桜(2年)は相手から分析されるのは必至だが、竹内は「マークされても決めるのがエース」と背中を押す。個に依存せず、全員が“自分がやる”とスイッチを入れられるかが、東龍バレーの生命線だ。拾ってつなぎ、簡単に点を許さない守備が機能すれば、磨かれた攻撃が生きる。勝ちパターンはそこにある。

 目の前の一戦にすべてを込めるのが今の合言葉だ。国スポは今季2度目の「日本一への挑戦権」。ここで力を証明できれば、春の高校バレー県予選、そして26年連続の全国舞台へ道筋が見える。藤崎は言う。「今は国スポで日本一しか考えていない」。積み上げた堅守と自立のマインドで、絶対王者は再び“挑戦者”として頂点を狙う。

日本一を目指す3年生たち

(柚野真也)