OITA SPORTS

9/17 WED 2025

supported by

株式会社古城

バレー バレー

NEW!

春の高校バレー県予選展望 女子(2)臼杵 積み重ねた日々を力に挑戦者の逆襲計画 【大分県】

春の高校バレー県予選展望 女子(2)臼杵 積み重ねた日々を力に挑戦者の逆襲計画 【大分県】

 高校バレーの最高峰・春の高校バレー。その出場権を懸けた県予選が10月25日に開幕する。女子は26年連続41回目の全国切符を狙う“絶対王者”東九州龍谷が、依然として優勝候補の最右翼だ。対抗馬の大分商業をはじめ、他校も頂点を射程にとらえている。熾烈(しれつ)な戦いを制して全国の舞台への扉を開くのはどのチームか。熱戦の幕開けを前に、その行方を占う。

 近年、ベスト4から遠ざかっていた古豪・臼杵。しかし、4月の全九州バレーボール総合選手権県予選で4位、6月の県高校総体で3位と復調の兆しを見せている。

 県高校総体後は、ファーストプレーの精度やスパイカーの得点力、特に状況に応じた点の取り方を重点的に鍛えてきた。「これまでの経験上、春の高校バレー県予選は総合力が高いチームが勝つ。その中でも攻撃力がないと話にならない」。そう語るのは佐藤優介監督。

 7月の天皇杯・皇后杯全日本選手権県ラウンド、8月の県高校フレッシュバレーボール優勝大会と思うように力を発揮できず停滞気味だったチームを的確な声かけで支え続けてきた。まさに“指導者の言葉は魔法の言葉”。選手のいいところを認め、伸ばし、自信へとつなげる。その徹底がチームを着実に好転させている。

チームとして総合力を高める

 今年のチームはおとなしい選手が多く、試合では精神面が課題となることもあるが、一人一人のポテンシャルは決して低いわけではない。SVリーグでの指導経験を持つトレーナーも「短期間でここまで吸収できるチームは珍しい」と評価するほど。

 臼杵の代名詞である粘り強さはもちろん、言われたことを素直に実行する真面目な姿勢こそが最大の武器といえる。

 そんなチームの中核を担うのはキャプテンでウイングスパイカーの江口葉月(3年)。チーム唯一の中学県選抜経験者で、技術・精神両面でメンバーをけん引する大黒柱だ。ただ、江口一人の力では勝てない。佐藤監督が奮起を期待する筆頭がオポジットの原唯華(ゆいか、3年)。まだ成長途中ながら得点源としての自覚も芽生えており、「最後の試合になるので、今まで培ったものを全て出し切るつもりで臨む。前衛の時はしっかり決め、後衛の時は声を出してみんなを鼓舞したい」と意気込んでいる。

チームは完成形へと近づいている

 もう一人のキープレーヤーは、セッターの児玉紗弥(2年)の存在も大きい。1月の県高校新人大会後にスパイカーから転向したばかりで経験は浅いが、持ち前の運動能力を発揮しながらハンドリングや配球感覚を着実に磨いてきた。江口を軸に、周囲も奮起し、チームは完成形へと近づきつつある。

 順当に勝ち上がれば、準決勝で立ちはだかるのは大分商業。そこを確実に勝ち切るためには、「当たって砕けろ」は通用しない。佐藤監督は、精神面を大切にしながらも、理論的に戦術を組み立て、確実な勝利を狙う。江口も「3年生は負けたら終わり。大商(大分商業)、東龍(東九州龍谷)には高さなど敵わない部分も多いが、違う部分で強みを増やして立ち向かいたい。私たちに限界はない、もっと強くなれる」と強気な姿勢を崩さない。

 定評あるレシーブ力を土台に、プレーの精度を高め、どれだけ攻撃につなげられるか。ミスを最小限に抑えられるか。大会までの進化が、勝敗の行方を左右する。

(甲斐理恵)