
春の高校バレー県予選展望 男子(1)鶴崎工業 課題を力に変えて見据える頂点 【大分県】
バレー
NEW!
6月の県高校総体を経て、チームが次々と動き出した。迎えるのは春の高校バレー県予選。男子は大分南、大分工業の2強が有力だが、虎視眈々(たんたん)と他校も王座を狙う。高さか、粘りか、あるいは総合力か―。大会を制し、全国への扉を開くのはどのチームか。熱戦の幕開けを前に、その行方を展望する。第2回は新戦力が光る楊志館。
1、2年生を対象に行われた県高校フレッシュバレーボール優勝大会で、楊志館は3位タイの結果を残した。ここ数年で着実に力をつけてきたチームにとって、この大会は次なる飛躍への試金石であり、春の高校バレー県予選に向けた貴重なステップとなった。
上村忠史監督は「今回は力試しの場」と位置づけていた。A、Bの2チームをエントリーしたが、セッター2人を含む複数のけが人に見舞われ、急造の布陣で臨まざるを得なかった。想定外の苦境に直面しながらも、Aチームが準決勝まで勝ち上がったことは確かな収穫だったという。普段出場機会の少ない選手が躍動し、3位入賞という結果を引き寄せたのだ。
新戦力の台頭も光った。ビーチバレーで国スポ九州ブロック大会に出場した西村日向汰に加え、身長183センチ、体重92キロの大型新人・大野青龍の存在感が際立つ。入部からわずか3カ月ながら、バスケットボールのリングをつかむ身体能力を武器に急成長を遂げつつある。上村監督は「将来性豊かな1年生がそろっている」と語り、世代交代の順調さを実感している。
一方で、キャプテンを務めた浜地翔丞(2年)は悔しさを隠さない。準決勝で鶴崎工業に0ー2で完敗。「手も足も出なかった」と振り返りながらも、敗戦を糧に「攻め続けるチームをつくりたい」と誓う。課題として挙げたのはサーブレシーブ。崩されれば攻撃の形を作れず、持ち味の全員バレーが発揮できない。だからこそ「全員で安定させ、全員で攻撃する」ことを目標に据える。
楊志館の代名詞とも言えるのが『お祭りバレー』だ。声を張り上げ、仲間を鼓舞し、雰囲気そのものを武器に変えるスタイルである。しかし今大会ではその熱気を十分に発揮できなかった。浜地は「次はもっと盛り上がって戦いたい」と語り、再び会場を巻き込む“お祭り騒ぎ”を復活させる決意を示した。
チームは現在、3年生4人を含む総勢31人。チーム内の競争が活発になり、選手層は着実に底上げされている。監督は「まずはベスト4に食い込みたい」と語るが、その言葉の裏には、選手たちの成長を信じる確かな手応えがある。
春の高校バレー県予選。楊志館が掲げるのは「気持ちで壁を破る」という信念だ。技術では及ばない部分があっても、気迫と声と仲間への信頼で立ち向かう。お祭りのように盛り上がり、全員で攻め抜くに違いない。
(柚野真也)
地区を選択
学校名を選択