
大分トリニータ 竹中体制の初陣を検証 【大分県】
サッカー
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ヴェルスパ大分がJ3昇格へ視界良好の位置に付けている。18試合を終えて9勝6分3敗の勝ち点33。首位とわずか1差の2位につけ、30日には首位・滋賀との直接対決がホームで待ち受ける。勝てば首位浮上、負ければ再び突き放される。チームにとってまさに正念場だ。
1カ月の中断期間、中村元監督は「まずは選手を休ませた」と語る。緊迫した試合が続いた前期、メンタルも体も限界に近かった。年齢の高いベテラン選手には休養日を増やし、コンディションを整えることを優先した。一方で懸念材料は「決め切れない攻撃」だった。押し込みながらも点を奪えず引き分けに終わった試合が少なくない。中断期間では「どうゴールに迫るか」をテーマに取り組み、連係や崩しの精度を磨いた。その成果は確実に表れつつある。
今季のヴェルスパは大崩れがない。最大の要因は守備にある。リーグ最少失点を誇り、特に「得点直後」「失点直後」「試合終盤」という試合を左右する時間帯に集中力を発揮してきた。昨季まで泣かされた連続失点は影を潜め、守護神の姫野昂志を中心に全員が共通意識を持ってゴールを守る。その積み上げが今の順位につながっている。
攻撃では前線の今村優介、金崎夢生、山崎一帆が持ち味を発揮し、サイドバックやボランチも積極的に絡む。シーズン途中に加入した川中健太がアクセントを加えている。ゴール前の嗅覚、意外性のあるプレーはジョーカーとして大きな武器。加入直後から結果を残し、クラブの「本気度」を示す補強となった。
ただ、相手も簡単には崩れない。夏場は守備を固めてくるチームが増える。中村監督は「決まり事をつくりすぎない」ことを意識する。戦術的な型に縛られれば選手の発想は鈍り、相手にとって読みやすくなる。「ここも狙える、あそこも狙える」という多様なオプションを与え、選手自身のアイデアで局面を切り拓く姿勢を求める。自由度と組織を両立させる戦い方こそ、ヴェルスパの持ち味である。
そして訪れる首位決戦。前期は滋賀に敗れた。「勝ちしか考えていない」と指揮官は言い切る。負けや引き分けでは相手が首位に残るだけ。借りを返す絶好の舞台に、全員が闘志を燃やす。上位は6チームが僅差でひしめく混戦だが、一つの勝利が大きな流れを呼び込む。だからこそ、この一戦の意味は重い。
「全員の力を結集し、勝って首位に立つ。そのために全力を尽くす」。中村監督の言葉は、シーズンの行方を左右する一戦にすべてを懸ける決意に満ちていた。中断期間で練り上げた修正と覚悟が、ピッチでどのように結実するのか。ヴェルスパの挑戦は、いよいよ佳境に差しかかる。
(柚野真也)
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