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3年生が残した軌跡 大分商業書道部 【大分県】

3年生が残した軌跡 大分商業書道部 【大分県】

 大分商業高校書道部には、毎年10人前後の部員が在籍している。今年の3年生は田中海羽、河野結衣、谷杏華の3人。少人数ながらも、それぞれが異なる経験を持ち寄り、部の歴史に新たな1ページを刻んだ。

 顧問の鹿苑晋史講師が着任して3年。基礎からの徹底を大切にした指導のもと、週2日の練習に励んできた。本年度、3人はいずれも県大会で高く評価され、全国大会の舞台に立った。

3年間努力を重ね、結果を残してきた3年生

 部長の田中は小学生の頃から筆を握り続け、「第73回大分県高校文化連盟書道中央展」で優良賞を受賞した。河野は「第9回全九州高等学校総合文化祭沖縄大会」で九州高校文化連盟賞を獲得し、九州屈指の実力を示した。そして高校から書道を始めた谷は、「第61回大分県高文連席上揮毫大会」で推奨を受賞し、さらに全国の舞台「かがわ総文祭2025」で特別賞に輝いた。この受賞は創部以来初の快挙であり、部全体を大きく鼓舞した。

 3人の強さの背景には、意外な共通点がある。いずれも小中学校時代にバレーボールやバスケットボール、テニスなどの運動部で汗を流してきたことだ。大舞台を経験したことから、勝負に挑む姿勢や集中力の持続が身に付いていた。「どんな場面でも自分たちで動く積極性があった。雑用も後輩のサポートも率先してこなしてくれた」と鹿苑講師は語る。書道という一見静かな活動の中に、スポーツで培った粘り強さや行動力が息づいていたのである。

 そうした姿勢は部全体に波及した。個人として技を磨くだけでなく、「チームで高め合う」という雰囲気をつくり出し、後輩たちを自然と引っ張った。部長の田中は「自分たちの結果が後輩の刺激になればうれしい。自分から行動する集団であってほしい」と語る。谷も「書道の楽しさを感じてほしい。楽しさがあれば活動の熱量は大きく変わる」と力を込める。

 書に真摯に向き合い、勝負強さを武器に全国の舞台に挑んだ3人。その功績は、大分商業書道部に確かな自信をもたらした。後輩たちがその背中を追い、また新たな快挙を生み出す日も遠くない。

部員同士で意見を出し合い、練習を重ねる

(塩月なつみ)