
大分トリニータ 責任背負い挑む吉田真那斗の夏 【大分県】
サッカー
・エネルギッシュな躍動感
・リズムのある時間帯で確実に点を奪う
・負傷者の穴を埋める戦力の台頭
評価の難しいシーズンだ。大分トリニータはリーグ戦の半分を折り返し、6勝4分9敗で暫定12位。開幕前に掲げた「6位以内」という目標から離れているが、今後の戦い方次第では届かないことはない。ただ、今季のチームは好不調の波があり、勢いに乗ったと思えば低調な試合をし、連敗が続くかと思えば一気に快方に向かったりと気まぐれだ。もちろん監督やスタッフ、選手はチームの勝利のために万全の準備をし、ベストな状態で試合に臨んでいる。
5年目の片野坂知宏監督の下で、チームはこれまでと同じように、GKからボールをつないで攻撃を組み立てるスタイルをベースに、自分たちが主導権を握るサッカーを展開している。その成果はリーグ再開後の3戦負けなしという結果に表れ、上々の再スタートを切ったかに見えた。だが、5節のG大阪に敗れてから5連敗を喫す。セットプレーからの失点が続き、試合内容も改善の兆しが見えなかった。その後も、突如、躍動感のあるサッカーを見せて波に乗るかと思えば、また連敗するなどムラのある試合が続く。
渡大生らの奮起に期待
何かが急に狂い出したわけではない。勝利から見放された試合はおおかた、テンポのいい時間帯で試合を決める得点を奪えなかった。チャンスを逃し続けることで流れを自ら手放す形となった試合が散見された。片野坂監督は、「失点ミスは重く受け止められるが、シュートミスも同じように受け止めるべきだ」と話したことがある。必要なのは確実に点を取る、試合を決めるしたたかさに他ならない。サイドとトップ下を兼務する田中達也は今季ここまで6得点でチームの得点王だが、やはり知念慶や渡大生らストライカーと呼ばれる選手の得点力が求められる。
また、負傷者やコンディション不良選手の続出も前半戦での大きな足かせとなったのは間違いない。小林裕紀は5節以降長期離脱し、前田凌佑は試合中に負傷。孤軍奮闘していた長谷川雄志もピッチに立てない状況が続く。特に大分のサッカーの要となるボランチにけが人が集中し、戦線離脱の状況だ。ただし、穴を埋めた島川俊郎の頑張りや、CBからコンバートされた羽田健人が及第点のプレーを見せているのはうれしい誤算と言えるだろう。前線も同じように一定のメンバーを組めないチーム事情が戦力の上積みを促した面もあるが、今後も新戦力の台頭は望まれる。
後半戦も連戦が続き、厳しい台所事情も変わらない。14節のFC東京に0−1で完敗した後に指揮官は語った。「連戦の中でもハードワークする姿勢、誰が出てもパワーを切らさずに勝ち点を取る姿勢が必要。強い相手から点を取って勝ち点を取るというところでは、まだまだパワーが足りない。90分間、切らさずに、エネルギッシュに躍動感を持って戦わなくてはならない」。悔しさを忘れず、最後まで押し切る力強さが必要だ。
後半戦の巻き返しを図るトリニータ
(柚野真也)
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