OITA SPORTS

8/20 WED 2025

supported by

シーアール

剣道 剣道

NEW!

全国高校総体 剣道男子 明豊の勝利の方程式崩れ、涙の準優勝 【大分県】

全国高校総体 剣道男子 明豊の勝利の方程式崩れ、涙の準優勝 【大分県】

 2年連続の準優勝。剣道男子団体の明豊は、今夏の全国高校総体(インターハイ)でまたもやあと一歩、日本一に届かなかった。表彰式で笑顔を見せる者は一人もいなかった。「本気で日本一を狙っていたからこそ悔しい」。選手たちの胸中は、言葉を尽くすまでもなくその表情に刻まれていた。

 準々決勝は宿敵・九州学院(熊本)との対戦だった。先鋒の武蔵啓斗(3年)が勝利をつかみ、そこからしっかりとつないで大将の高松宥人(同)が勝負を決める。明豊が積み上げてきた必勝パターンが光り、盤石の勝利を収めた。続く準決勝、奈良大付戦は5人全員が引き分けとなる緊迫の展開。代表戦に持ち込まれると、高松が延長で面を打ち抜き、勝ち切った。ここまでの道のりに死角はないように見えた。

個人戦で3位となった高松宥人

 迎えた磐田東(静岡)との決勝。先鋒・武蔵が勝利し、流れをつかんだかに見えたが、次鋒で痛恨の黒星を喫した。中堅が勝ち、副将が敗れるシーソーゲーム。勝負の行方は大将・高松に委ねられた。勝ち越しを狙って果敢に攻めたが、最後の一本が奪えなかった。「自分で決めたいと思っていた。でも取り切れず、勝負強さが足りなかった」。高松は悔しさを噛みしめながら振り返った。

 今年のチームは、立ち上げ当初から「インターハイ優勝」を旗印に走り続けてきた。昨年のインターハイ決勝で涙を飲んだ先輩の姿を間近で見てきたからこそ、武蔵は「自分たちの代で優勝し、先輩の悔しさを晴らしたかった」と語る。だが道のりは順風満帆ではなかった。キャプテンとして仲間を引っ張ることに悩み、声を出せない時期もあった。伝えることが苦手で、嫌われるのが怖くて強く言えなかった。それでも最後は、「勝つために自分の思いをぶつけられるようになった」と胸を張る。

 インターハイ直前の全九州大会や玉竜旗でも、チームはまだ「一丸」と言える状態ではなかった。私生活から練習まで見直し、全員で話し合いを重ねてようやくまとまった。その過程を経て臨んだ全国の大舞台。「みんながやるしかないと思えた。やり切った。悔しいけど後悔はない」。武蔵の言葉には、敗北の中に確かな充実感がにじむ。

 個人戦で3位に入った高松は「3年間で心の成長ができた。落ち着いて自分のペースで戦えるようになった。それだけに、最後に勝ち切れなかったのが悔しい」と語る。積み重ねてきた稽古と経験が高松を強くしたが、それでも決勝の壁を越えるには一手足りなかった。

 明豊の3年生たちは、それぞれの胸に「最後に負けた悔しさ」を残したまま次の道へと進んでいく。なぜ勝てなかったのか、その問いに答えを出すために、剣を振り続ける。敗北から学ぶことがある限り、彼らの剣道人生はまだ終わらない。

負けた悔しさ糧に剣を振る

(柚野真也)

大会結果